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【2021-3-30更新】週刊HD労働情報

同一労働同一賃金法制の中小企業への適用開始

1年前の法改正では大企業のみが対象となっていた「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)」がいよいよ本年4月1日から中小企業へも適用となる。

 

今週は法改正の概要についてもう一度おさらいをし、来月からの施行に向け、ヌケモレのないように最終確認をお願いしたい。

 

対象労働者の考え方

  • 通常の労働者:「労働契約に期間の定めがなく」かつ「1週間の労働時間がフルタイム」
  • 取組対象労働者:上記以外の労働者

上記は有期、パート、アルバイトなど名称のいかんを問わず、通常の労働者と取組対象労働者として区別され、二者間の不合理な待遇差の解消を目的とする。

 

なお、今回法適用の対象となる中小企業の範囲は、「資本金の額または出資の総額」と「常時使用する労働者の数」のいずれかが以下の基準を満たすこととし、事業場単位ではなく、企業単位で判断される。

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【厚生労働省】中小企業の範囲

 

概要

以下の3つが主な内容となる。

  1. 不合理な待遇差の禁止
  2. 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
  3. 行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続きの整備

 では、上記の1、2について概要を見ていくことにする。

 

1.不合理な待遇差の禁止

①第8条 均衡待遇

前述の対象労働者間において、待遇差があってもいいが、

  • 職務内容
  • 職務内容、配置の変更の範囲
  • その他の事情

の内容を考慮して不合理な待遇差を禁止している。

 

②第9条 均等待遇

前述の対象労働者間において、

  • 職務内容
  • 職務内容・配置の変更範囲

が同じ場合は、差別的取扱い禁止している。

※職務内容とは、業務の内容+責任の程度をいう

 

上記①、②の解釈の明確化を図るため、法的な根拠を有する「同一労働同一賃金ガイドライン」が制定された。ガイドラインには主な項目ごとの原則となる考え方ならびに具体例が掲載されている。しかし、待遇に関するすべての項目が掲載されてはいないので、実務的にはガイドラインを踏まえたうえで、法律や判例をも参考に個別具体的な検討をしていかなければならない。

【厚生労働省】同一労働同一賃金ガイドライン

 

2.労働者に対する待遇に関する説明義務の強化

取組対象労働者は二者間の待遇差の内容や理由などについて、事業主に対して説明を求めることができることとした。

■雇入れ時
有期雇用労働者に対する、雇用管理上の措置の内容(賃金、教育訓練、福利厚生施設の利用、正規雇用転換の措置等)に関する説明を義務付け

 

■説明の求めがあった場合
正規雇用労働者から求めがあった場合、正規雇用労働者との間の待遇差の内容・理由等を説明を義務付け

 

■不利益取扱いの禁止
説明を求めた労働者に対する場合の不利益取扱いを禁止

 

今回の法改正は、これまでのわが国における「パートだから」、「臨時的な契約だから」という安易な人件費削減ともとれる、契約形態を理由に待遇差をつける雇用慣行を全面的に否定する内容となっており、経営に与えるインパクトも大きい。

 

一方、大企業への施行が1年前に行われたこともあり、厚労省においても非常にていねいな説明を行うべく、非常に多くの資料を準備している。以下に主なリンクを示すので、参考にされ、ヌケモレなく、効率的に対応をしていきたい。

www.mhlw.go.jp

 

 【厚生労働省】同一労働同一賃金法制リーフレット(省令・指針反映版)

 

【厚生労働省】改正後のパートタイム・有期雇用労働法で求められる企業の対応について(動画)

 

【厚生労働省】パートタイム・有期雇用労働法対応状況チェックツール

 

【厚生労働省】パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書