ベーシック
第2次IVYブーム(1982~85)当時の雑誌などを見ると「IVYは服の着こなしの基本である」などと紹介され、ベーシックアイテムを中心としたコーディネイトが掲載されている。
ベーシックとは、辞書を引くと「基礎になるさま、基本的」なとどあり、服飾の世界では基本的なコーディネイトや定番という意味で使われる。
IVYスタイル=基本、ベーシックなどととらえられることから、どうも入門編とか初心者向き、若者のスタイルなどと理解されがちだが、ベーシックだからこそ奥が深く、難しいということができるのではないだろうか。
身につけるアイテムやコーディネイト自体がベーシックなものであるからこそ、それを身につけることによって、その人自体の雰囲気であったり内面が出てくるのだ。要するに服でごまかしがきかないのである。
ベーシックなモノを身につけ、「特別なものを着ているわけではないのに、全体の印象としてとてもステキに見える」「雰囲気、存在感がある」などといわれる大人になりたいものである。
それには奇をてらった洋服などを身につけて、それにばかり目が向いてしまうのではなく、あくまで洋服は主張しないような定番モノを、ベーシックに着こなすことで、それをまとっている人物自体が見えるのである。
ボタンダウンシャツ
IVYのベーシックアイテムとして真っ先に語らなければならないのは、やはり「ボタンダウンシャツ」であろう。
クールビズで「ノータイでも襟元がだらしなく見えない」ということで脚光を浴び、現代の人々も日常的に目にするようになった、襟の先にボタンのついたシャツであるが、その歴史をさかのぼると意外と歴史が古い。
英国のポロ競技とは馬に乗ってスティックでボールを打つスポーツだが、1900年頃に米国の紳士服メーカーブルックス・ブラザーズの創業者の孫が、その選手のシャツの襟が風ではためくのを見て、ボタンでとめることを思いついたのが発祥だという逸話がある。
ベーシックアイテムとしてのボタンダウンシャツには、いくつかの決まり事がある。まず生地はオックスフォードという厚めの木綿であること。そしてディテールではパネルフロント、ガンレットボタン、背中側ではボックスプリーツにハンガーループ、そしてボタンの縫い付け方は、クロス・ステッチド・ボタンで決まりである。
色は無地では白、ブルー、イエロー、ピンクなどが定番、柄物では、ストライプ、タッターソール、ギンガムチェックなどが好まれる。
ちなみに昔、本場のアイビーリーガーでは日常の場面では白のボタンダウンシャツは好まれず、色つきの無地や柄物が好まれたそうだ。白いボタンダウンはやはりタイドアップしてフォーマルな場に身につけるための特別な色であったのだろうか。
服の着こなしの基本の1着をあげるとすれば、ボタンダウンシャツというチョイスに異論はないであろう。