【セミナーレポート】
Works Symposium「DX×人材×スキル~リスキリングの時代~」
先日、リクルートワークス研究所主催のオンラインセミナーに参加した。その概要ならびに直後に発表されたレポートをご紹介したい。
「リスキリング」とは店主もこのセミナーの案内を受取るまでは耳にしたことのなかった単語であった。セミナーによると、「デジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進あたり、現場の一般社員全員が、ITに対する基本的な概念や知識を習得し、DX視点で新しい価値を創出していくこと」と定義している。
こういわれると、リカレント教育では?と思われる読者もいると思うが、リカレントは個人主導で生涯のキャリアのなかで働くことと学び直しのくりかえしをさすのに対し、リスキリングは企業主導で外部資源を活用して戦略的に実行していくと整理されている。
セミナーは、3部構成でおよそ3時間、以下のプログラムで進行した。
- 【第1部】研究報告 デジタル時代のスキル再構築 リスキリングとは(リクルートワークス研究所・石原直子)
- 【第2部】ケーススタディ(ケース1)DX時代のリスキリング:日立製作所・(ケース2)デジタル時代に求められる人材とは:経済産業省
- 【第3部】パネルディスカッション:日立製作所×経済産業省×リクルートワークス研究所
DXの本質とは、デジタル技術を駆使して、
- 顧客経験価値をあげること
- 競争上の優位性を確立すること
と定義している。
それらを実現するために事業や会社の作り直しレベルの変化を必要としていくときに、これまでは、「課題の解決」はシステム部門やベンダーが担っていたが、これからは「課題の定義」を現場の第一線で働くひとり一人が行うことが求められ、それには最新のITスキルや知識が現場の全社員に必要だとしている。
最初は、部屋の片づけをしながら聞いていたのだが、後半からは引き寄せられるようになっていた。DXはこれからのビジネスを考える上で必須の考え方だと思い、いろいろと参考書を物色していたのだが、なにかこのセミナーとこれから紹介するレポートでこれまでのモヤモヤがイッキに晴れたような感じである。
【第1部】39:14
【第2部】27:06
【第3部】1:07:33
さて、セミナーの直後の発表されたレポート「リスキリングする組織——デジタル社会を生き抜く企業と個人をつくる」は、リクルートワークス研究所がこの1年ほどの期間をかけて研究した成果がまとめられている。
以下に内容を簡単に紹介するので、人事戦略を担当する責任者はもちろん、経営者から人事担当者いたるまで、今後のビジネスのありようやそれに伴う人材投資の基本的考え方に関するヒントになり得ると思われるので、ぜひご一読をおススメする。
【Contents】
Introduction DX 時代に必須の人材投資としての「リスキリング」
Part_1 リスキリング 4のステップ
Step_ 1:スキルを可視化する
Step_ 2:学習プログラムをそろえる
Step_ 3:学習に伴走する
Step_ 4:スキルを実践させる
Part_2 リスキリング 8のキーファクター
Key Factor_ 1:トップがトランスフォーメーションの方向を示す
Key Factor_ 2:人事がビジネスパートナーとして人材戦略を描く
Key Factor_ 3:スキル獲得後の職務と仕事がどう変わるか具体的に示す
Key Factor_ 4:スキルの実践性を確かなものにする
Key Factor_ 5:人々の学習を促進するしかけを埋め込む
Key Factor_ 6:学習のために時間と資金を投下する腹をくくる
Key Factor_ 7:ラーニングカルチャーを醸成する
Key Factor_ 8:変化に応じて青写真を何度でも描き直す
Part_3 リスキリング 3 の事例
Case_1:日立製作所
Case_2:大阪ガス
Case_3:Obeikan Investment Group
Conclusion リスキリングの、その先に拓ける未来
店主はもともと書籍からの情報収集を得意とする方なので、セミナーへの参加は周囲にくらべると非常に少ないのではあるが、久々に有意義なセミナーであった。