Cafe HOUKOKU-DOH

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IVY Note No.5

ブレザー

ボタンダウンシャツのつぎにくるアイテムといえば、日本中のほとんどの人が知っているブレザーである。1970年代後半からヤンキーファッションが台頭し、変形した学生服やセーラー服への対抗措置として、高校におけるオリジナルの制服化がすすんだ。その際に重宝されたのがブレザーであった。

 

ブレザーの起源は古く、19世紀前半にさかのぼる。英国の名門校ケンブリッジとオックスフォードの対校レガッタ(ボート競技)の際に、ユニホームに真紅のフランネルのジャケットを着ていたのが、燃え立つように見えたのでブレイジング(blazing red、blazeは炎の意)ジャケットと呼ばれたとする説などがある。

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IVYアイテムとしてのブレザーには、細かいデティールの決まりがある。まず、ナチュラルショルダーであること、胸グセなしのストレートハンギングであること、胸はパッチポケット、サイドはパッチ&フラップポケットであること、3個ボタン上2個掛けであること、メタルボタンを使用し、袖ボタンは2個であること、ベントはセンターフックド・ベントであること、フランネル仕立てであることなど、まだまだ書ききれないことがたくさんある。

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ボタンと襟の関係は、微妙なものがある。当初は前述の上2個掛けであったが、これを流行おくれとし、2個ボタンに見えるようにラペルを折り返して着ていた学生たちをヒントに、段返り3個ボタン中1つ掛けの「ナンバーワンサックスーツジャケット」を米国の老舗ブルックスブラザーズが1901年に発表した。

 

以来、クラシカルな雰囲気でこだわりのある上2個掛けとスポーティーなイメージの中1個掛けが共存するようになる。日本でも1990年代に上2個掛けが流行したが、現在のビジネスシーンでは段返り3個ボタン中1個掛けのブレザーが主流となっている。

 

IVYアイテムにおけるブレザーの地位を不動のものにしている一番の理由は、さまざまなシーンに応用がきく幅の広さであろう。TPOにうるさいIVYにおいてでも、いろいろなアイテムと組み合わせることで、オールマイティに活用できる。

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店主は、成人式のときに祖母からVANの紺色のブレザーを買ってもらったのだが、成人式に着ていったのはもちろん、その後会社勤めをするようになってからも、スーツとのローテーションの合間にはかなりの頻度で登板してもらった。

 

ドレスアップすればパーティーからディナー、ちょっと着くずせば、リゾート地への旅行やホテルでの食事までOKである。ドレスダウンすれば休日のほとんどのシーンにも合わせることができる。

 

おかげさまで店主のブレザーは20年ほど愛用し、いいくたびれ具合になってきた。これはこれで味があり、年相応の着こなしが可能である。またひじもそろそろ薄くなってきているので、パッチをあててもいい感じである。

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初代ブレザーはさすがにビジネスシーンには不似合いな雰囲気になってきたので、現在仕事で着ているのは2代目のブレザーである。それでもすでに6年も着ているが。

 

メタルボタンのブレザーをイマドキ着るのには若い人には抵抗があるかもしれないが、昨今ではいろいろなメーカーから「ねばならぬ」時代のテイストを上手に残したブレザーも出ている。ジャケットの購入を検討しているのであれば、一考の価値はあるであろう。