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人事屋修行記(第7話)

入社時研修

店主が大学を卒業して会社に入ったのは1991年、いわゆるバブル景気のときで、多少陰りは見えていたものの、依然世の中は景気のいい話でもちきりでした。

 

1997年にホンダ系部品メーカー3社が合併してケーヒンという会社になるのですが、店主が入ったのは3社のうちで一番規模の大きかった「京浜精機製作所」でした。

 

自動車やオートバイのエンジンの燃料をコントロールするキャブレターやインジェクターをなどをおもに作っていました。

 

当時の同期入社は大卒20名、高卒80名の約100名。当時の単独の全従業員が約2千名ですから、その約5%にあたる新卒を採用するという、今の感覚ではちょっと考えられない規模の新入社員でした(会社は当時もっと採用したかったハズです)。

 

入社式が終わり、工場見学をした後、相馬の松川浦荘という宿泊施設に移動し、3泊4日の入社時集合研修のスタートです。

 

集合研修は、トップ講和に始まり、人事制度や安全、品質、原価意識の話など非常に幅が広く、内容も興味深いものでした。

 

中でも印象に残っているのは、管理本部長の話で、後に店主の結婚式に主賓できていただいた人なのですが、この人は大の煙草好きで起きているときはひと時も煙草が離せない方でした。

 

この研修の講義中もまず灰皿を持ってきて、壇上のテーブルの上に置き、「ボクはこれがないとダメなものでね。失礼させてもらうよ。よかったら君たちもどうぞ」と一言。店主も吸いたかったですが、さすがにそこでハイという度胸はありません。

 

その後人事の担当者から人事制度の話です。新入社員は全員A級からスタートして、E級で主任、F級が課長、G級が次長、H級が部長になるという説明に、自分は果たしてE級の主任になれるのだろうか、何年掛かるのだろうかってとても長い階段があって不安に感じたのを覚えています。

 

もう一人印象的だったのは、情報システムの部長による原価意識の話でした。柔らかな物腰の語り口調で洒落たジョークも交えた話は、とても場慣れした感じで面白く、つい引き込まれて聞き入ってしまう内容でした。

 

その内容は社会人としてこれからビジネスにのぞむ我々にとっては、とても大切な原点となるような話で、その後のさまざまな経験と相まって、今の店主の視点、考え方のフレームを作ってもらったような気がします。

 

売上高における原価の構成と人件費の割合や我々が一時間働くといったいどれくらいのコストが掛かるかなど、学生気分の抜け切っていない店主にはとてもインパクトのある話で、正直、そんなに自分は付加価値が生み出せるのかととても不安になったのを覚えています。

 

つづく…