今週は人事を基礎から勉強したい人向けの参考図書をご紹介したい。
人事担当者のための赤本+青本
発行は2010年と少々古いものではあるが、人事にあらたに配属された担当者などにはぜひ読んで欲しい内容となっている。
赤本と青本という2冊から構成されているが、赤本の方が基礎編、青本の方がステップアップ編と位置づけられており、内容の難易度や広がりがステップを踏めるようになっている。いきなり外国語のような単語がびっしりならんでチンプンカンプンとならないように配慮されている。
目次イメージを紹介しておこう。
『人事担当者が知っておきたい10の基礎知識、8つの心構え』
■巻頭解説 今、人事部に求められるもの
■人事部の仕事(基礎編)
■心構えと基本行動
- 「現地・現物」に徹する
- 柔軟さとバランス感覚を持つ
- 他責にせず、自覚でとらえる
- 顧客意識を持つ
- 社会顧客を明確化する
- 「会社のルール」ではなく「社員の状態」を管理する
- 現象に対してではなく、真の要因に手を打つ
- 仕事の目的を掘り下げて目標を設定する
■特別調査
- 人事部門の役割・課題と人事担当者育成に関する実態調査
- 人事担当者の仕事とスキルに関する調査
- 調査結果-人事経験者はこう見る
『人事担当者が知っておきたい、8つの実践策、7つのスキル』
■巻頭解説 日本の人事管理はどう変遷してきたか
■人事部の仕事(ステップアップ編)
- 人事部門の構築と機能
- 人事ポリシーの明確化
- 人材配置
- 採用・選考
- 人事制度の企画・運用
- 労務問題の種類と対応
- 人材育成、教育・研修
- 最後に-プロの人事担当者になるために
■専門能力スキルアップ
■付録 人事部の仕事 課業チェックシート
人事の仕事というと、いまだに勤怠管理に給与計算そして労務対応というイメージから抜け出せない企業も多いが、基礎編では人事の仕事の役割や目的、それらを実践するための具体的な活動が俯瞰できる形で整理されている。
まずはしっかりと目的と全体像を把握することで、日々取り組んでいる仕事がどのような役割を担っていて、最終的にどのようなアウトプットにつながるのかが理解できるであろう。
一方、ステップアップ編では基礎編で概観した各領域について、より具体的な解説がなされている。この一冊だけで自身の担当領域の専門性を深めることは難しいが、人事部員として、自分の担当領域以外について、専門的見地からその目的や機能を理解するには十分な内容である。
新任担当者はもちろん、いままでOJTのみでやってきた人事メンバーにも、人事の仕事の目的や全体像を整理し理解するための参考書として手に取ってみてはいかがだろうか。
新よくわかる労働基準法
人事メンバーから、人事領域のどこから勉強していけばいいのか、とはよく訊かれる質問である。これに店主は迷わず「労働基準法」と回答している。
労働基準法は、会社が従業員を雇用して働いてもらう際に適用される処遇や待遇、取扱いなどについて、その最低基準を定めた法律であり、「従業員を雇う」、「会社で働く」ことに関するさまざまな法律のベースとなるものだ。
そのむかし、店主の同僚などは、「労基法さえ身につければ一生食いっぱぐれはない」などといっていたが、そこまでではなくとも人事屋さんとしてキャリアを重ねていくのであれば、最初に覚えるべき法律であることは間違えない。
労基法に関する参考書はたくさん出回っていて、いざ書店に行ってみてもどれを選べばいいのか迷ってしまうほどだ。そこで店主がおススメするのは、この「新よくわかる労働基準法 」である。
『新よくわかる労働基準法 』
- 巻頭特集 2019年から順次施行 働き方改革関連法とは
- パート1 労基法のしくみをつかもう
- パート2 応募から入社までの基礎知識
- パート3 就業規則をまず確認しよう
- パート4 労働時間の基本を押さえる
- パート5 休日・休暇は上手に取ろう
- パート6 賃金について知っておくべきこと
- パート7 社内ルールに精通しよう
- パート8 退職と解雇には今から備えておく
- パート9 さまざまな働き方に対応する
労基法の概略からポイントの抜粋、そして重要項目について、労基法の章立てに近い形でまとめられている。最近の参考書の多くは、現場での起こることを起点にまとめられている形式のものも多いが、労基法はずっと付き合っていく法律なので、原文の章立てを意識した本の方が結果的に使いやすいように感じる。
まずは、この本のポイントをアタマに入れ、実務で「そういえばこれは労基法に決まりがあった」と気づきのスイッチが入るようになれば、人事屋さんとしては一人前といえる。あとは、詳細に解説している参考書などで、都度判断していけばいいのである。
まずは労基法の勉強からはじめてみては、いかがだろうか。