先週は式のコピーに関連して、セルの相対参照と絶対参照について説明した。これは、Excelを使いこなすにあたって避けては通れない知識なので、ぜひ覚えて欲しい。
さて今週は式のコピー2ということで、通常のコピーではないちょっと裏ワザ的なコピーのやり方をご紹介しよう。
式に限らず、セルに入力されているデータ(値)や式は、セルごと選択(アクティブセルにして)してコピーし、コピー先に貼り付ける。この方法は貼り付けの仕方にもよるが、基本的に式やデータ以外にもセルが保持している情報ごと貼り付けることになる。
また式であれば、貼り付け方いかんにかかわらず、相対参照の式であれば、オートフィルが効いて、コピー元とコピー先の移動分だけ参照先のセルの番地をずらしてくれる。
参照先のセルの番地を動かしたくなければ、先週の説明のとおり、参照先のセルを絶対参照にしておけばOKなのだが、絶対参照の式にしておかなくても、絶対参照と同じ機能を使え、さらに参照先をコントロールすることもできるのだ。
下のシートはB列に年齢を入力すると、C列に年代が表示されるようIF関数をネストさせて式を入力している。イマドキこんなIF関数のネスト式などはやらないというのは、あくまでも例題なので、ここでは言わないでいただきたい。
入力されている式は、セルB3を参照するようになっている。
=IF(B3="","",IF(B3<10,"それ以外",IF(B3<20,"10代",IF(B3<30,"20代",IF(B3<40,"30代",IF(B3<50,"40代",IF(B3<60,"50代",IF(B3<70,"60代",IF(B3<80,"70代",IF(B3<90,"80代",IF(B3<100,"90代","それ以外")))))))))))
これは絶対参照ではないので、通常のコピー、貼り付けでは参照先のセルB3がオートフィルしてしまうが、セルB3を参照したままの式をコピーできるやり方がある。
ます、コピーしたい式が入力されているセルC3をアクティブにし、[F2]キーを押すか、セルC3をクリックするか、数式バーをクリックすると、編集状態になる。その状態で式の先頭から最後尾までをテキストとして選択する。選択の仕方はマウスで式をドラッグしていくか、[Shift]+[→][←][↑][↓]でカーソルを移動し、選択範囲を反転させる。
この状態でマウスを右クリックしてメニューをドロップダウンさせ、コピーを選択するか、ショートカットキー[Ctrl]+[C]でコピーする。
あとは貼り付けたいセルで同じようにセルを編集状態にしてマウスを右クリックでメニューから貼り付けか、[Ctrl]+[P]で貼りつく。ここで見て欲しいのだが、このように式をテキスト形式にしてコピー、貼り付けするとオートフィルが機能せず、参照先のセル番地はそのままコピーされる。
なので、任意の場所に参照先セル固定のまま、式を貼り付けることができるのだ。
このように「式をテキストとして取り扱って、コピーし貼り付ける」やり方は、こみ入ったワークシートの切り貼りやデータの加工などに重宝するので、ぜひコピー方法のひとつとして身につけておいていただきたい。