Cafe HOUKOKU-DOH

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IVYおじさんの創業日誌

企画書

先週は起業してからはじめて1週間に4日外出した。クライアントさんに納品した研修がスタートして、オブザーブに行ってきたり、あたらしい案件が舞い込んできて、商談に行ったりと久々に外へ出て仕事をした。

 

あたらしい案件は、人事制度を刷新したいとの内容であった。まずは、現状どんな不具合やよくないと思われていることを起こっている事実ベースでうかがっていく。そして会社をどんな状態にしたいのかをお聴きして、課題を浮き出していくのである。

  

約1.5時間ほどお話をおうかがいして1回目の商談は終了。すすめ方は案件によってさまざまであるが、今回は、まずはこのヒアリングのレベルで提案をして欲しいとのことであった。

 

パートナーさんと打合せをして、とりあえずいまもっている情報で提案書をつくることになった。担当は当然店主である。

 

店主は新卒で工場人事に配属されて以降、約10年ちかく給与計算を主担当業務としてきた。その後本社人事に異動になったが、そこでも評価や昇給計算、就業規則や周辺規定のメンテや運用解釈の判断など、実務畑が長かった。

 

人事企画を担当するようになったのは入社して20年も経ったころで、人事課長を外れて担当専務付の人事企画担当に異動してからである。

 

イデアを練って企画書にまとめる仕事は、慣れないこともあり最初は相当とまどった。それでもすぐに信条にしている「まずは基本から」に立ち返り、企画書の通信教育を受講して、基礎的な考え方や方法論を学んだ。

 

これはかなり役に立っていて、いまでも店主の企画書は、この通信教育テキストの考え方がベースになっている。

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基本の「型」を学んだあとは、まずは型どおりできるよう実地で訓練を繰り返すしかない。スポーツで上達するように、理論を学んだら、それが実践でできるようになるまで繰り返し訓練し、体に覚えさせるのである。

 

「デスクワークなのになにを言っている」と思われる向きもあるかもしれないが、スキルを身につけるというのは、みな同じプロセスである。頭で考えて体を動かしているうちはダメで、カラダに型を覚えさせて無意識に動くようになるまで訓練を積むのが大切なのである。

 

店主の尊敬する司馬遼太郎先生が、自身の軍隊経験を踏まえてエッセイに書いておられたが、軍隊の訓練というものは、勇敢な兵隊を育成するのではないという。砲弾が頭上を飛び交う戦場で、上官の号令により体が反射的に突撃するようになるまで、訓練を繰り返すことだそうだ。

 

「型」を体得するまで訓練した上で、ようやく自分らしさを載せ得る状態になる。パワポいじりばかりしていて、仕事していないとかげぐちをささやかれていた店主が10年以上かけてたどり着いたのは、「資料なしの口頭のみで説明する」ことであった。

 

仕事では報連相を日常的に繰り返す。その際のほとんどは資料などは使わず口頭のみで行う。資料はそれをより理解しやすくするために存在するのであるから、まずは口頭のみで説明するよう物語をつくり、その上で、必要な箇所を資料で補強するとより理解が深まるであろう、と考えて資料を構成するようにした。

 

そうすると、伝えたい内容やメッセージが先にあり、そのための資料としてなにがふさわしいかという順序で考えるようになり、ムダな資料が劇的に減った。

 

とはいえ、別にこういうことを考えるに至ったから、提案がいつもうまくいくわけではなく、あいかわらずの勝率であることには変わりないのであるが。