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【いまさら訊けない】Office基礎講座16 ミスを防ぐ基本作法2

先週に引き続き、お作法の話を続少々。Excelの作法として、そのファイルを共有するであろう人々のことも考えてみたい。

 

アクティブセルをA1にして保存

いまは昔ほど見かけなくなったが、20年前くらいにPCとオフィスのアプリが職場に登場して間もないころには、笑い話のようなエピソードに事欠かなかった。マウスがマウスパッドの端まで動いてしまい、それ以上カーソルが動かせないと助けを呼ぶシニアがたくさんいたのだ。

 

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そんなメンバーとExcelファイルを共有する前提で、他人にやさしくと店主が心がけてきたのは、作業が終了する際には必ず「アクティブセルをA1」にして保存をすることであった。

 

アクティブセルが(たまたまであろうが)データが入力されている領域から外れたところにあるまま保存され、それを受取ったシニアがファイルを開くと、シートが真っ白で「何も入っていない!」とクレームの電話をかけてくるなどということを結構聞いたものだ。

 

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この配慮はミスの防止に直結するわけではないが、こういう習慣をつけていると、A1がアクティブセルになっていないファイルを開くと、完成されていない作業途中のファイルと認識できるので、自分のルールとしてはミスの防止にはなる。

 

ズーム倍率

Excelのシートはできる限りひと目で見えて、スクロールが少ない方が作業効率の面でもミスの防止という意味でいい。なので店主はいまだにズーム倍率は75%を基本にしている。

 

会社員時代は、仲間内でズーム倍率を100%のままにしているメンバーがいると、「年寄りシート」などとバカにしたものだったが、いまではいつまで75%で作業ができるか、とチャレンジしているのである。

 

見出し固定

シートが大きくなり、ズーム倍率を75%にしても1つの画面に表示できる大きさを超えることはよく起こる。その際には、列見出しや行見出しを固定して、スクロールしてもその列や行がどのような属性かひと目でわかるように見出しを固定する機能である。

 

この便利な機能だが、意外と使っている人が少ない。店主の印象では、半分から6割といったイメージである。この機能は作業の効率化とエラー防止に必須の機能なので、ぜひ心がけていただきたい。

 

固定の方法はいたって簡単で、A1セルが左上はじにある状態で、見出しとして固定したい行、列のすぐ下、右どなりのセルをアクティブにし、「表示」タブから「ウインドウ枠の固定」を選択し、「ウインドウ枠の固定」を選択するだけ。

 

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これで選択した列見出し、行見出しはそのまま固定され、見出し行、見出し列のそれぞれ下の列、右の行移行がスクロールしていくのだ。

 

非表示を使わない

Excelのシートで計算式をガリガリと入力し、たとえば列ごとに計算の途中結果が出るようにして、その結果を用いて隣の列にさらに計算式を入力していくような場合、最終的な帳票にするときに、途中の計算過程は必要ないという場合がある。

 

たとえば給与計算で、まず時間外手当の算定基礎額の元になる項目の合計を集計する列を作り、その隣の列に合計を月平均の所定労働時間数で除した時給単価を計算し、さらに時給単価に割増率を乗じ、その上で時間外労働の時間数を入力する列を作り、最終的にその隣の列の時間外手当の計算結果を求める、というような場合だ。

 

このような決まりきった計算ならば、変数を入力する列のみ設定し、そのほかには最終的に必要な計算結果を表示する列のみ設定するのが上級者なのだが、このような決まりきった計算ではなく、計算式自体を検討しながら設定していく場合には、列ごとに計算過程が見えた方が検討に都合がいい場合がある。

 

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そのような課程を経て、計算式を完成させた場合、帳票にして体裁を整える場合によくやりがちなのが、課程を表示した列を「非表示」にしてしまうことである。

 

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シートを作成した本人であればまだしも、そのシートを他者と共有する場合は要注意である。必要がない列が存在すると考え、途中の計算過程が入った列を非表示列ごと削除してしまい、エラーが出てくれれば気がつくのだが、エラーが出ないような式を設定していた場合、計算結果が思惑と違ったものになってしまう。

 

最終的に電卓をたたいて検算すればいいのではあるが、可能性はできるだけ少なくしておくという基本スタンスに立つのであれば、避けるのが作法である。

 

複雑な式を設定したときほど、成功したうれしさのあまり検算を怠ってしまうのがヒトというものである。