表示形式
Excelを使いこなすうえで、重要なのだけれども意外とよく知られていない機能のひとつに「表示形式」がある。Excelは、セルに保持している値や計算結果を指定した形式に変換して表示することができる。シリアル値という1900年1月1日を1として年月表示に置き換える機能などがその代表である。
表示形式機能は「セルの書式設定」ダイアログボックスの「表示形式」タブにある。「分類」のリストには、以下の12の表示形式が存在する。一つひとつ詳細を見ていくことにしよう。
■標準:
Excelシートのデフォルト設定の表示形式である。基本的に入力した値がそのまま表示される。
■数値:
値を数値として扱う。正負の表示、カンマの有無、小数点以下の桁数が同時に設定できる
■通貨:
通貨の表示形式として、先頭もしくは後尾に表示する各国の通貨記号を選択でき、正負の表示、小数点以下の桁数が同時に設定できる。カンマはデフォルトでありの設定に
■会計:
各国の通貨記号の選択、小数点以下の桁数設定が同時にできる、デフォルトでのカンマは通貨と一緒だが、正負の記号や色分けは選択できず、マイナスでも黒文字で負の記号は”-”の設定
■日付:
1900年1月1日を1とするシリアル値を日付で表示する。国ごとにグレゴリオ暦(太陽暦)とそれ以外のローカルの暦を選択でき、その上で、表示方法のバリエーションを選択できる。日本であれば和暦が選択できる
■時刻:
日付と同じくシリアル値を年月日+時刻(秒単位)で表示。たとえば2021/7/20 12:00:00であればシリアル値は44397.5となり、同日の12時00分15秒であれば44397.50017となる。
■パーセンテージ:
セルの値を100で除し、単位記号"%"をつけて表示する。同時に小数点以下の桁数も設定できる。たとえばセルの値が0.29であれば、29%といった具合である
■分数:
値を整数と分数で表示する。分母の桁数は1~3桁が指定でき、または分母を2、4、8、16、10、100にあらかじめ固定して表示できる。なお、少数の値は指定した分母に置き換えられ、もっとも近い値で表示される
■指数:
わたしたちが日常生活では使わないような大きい値や小さな値をわかりやすく表示する方法。Eの前の数の小数点以下の桁数を設定できる。123兆4500億は12345に10を10回かけた数なので「12345E+10」となる
■文字列:
セルの値を数字も含めて文字列として扱う。基本的に文字列の数値は計算の対象外となるが、対象とする場合も手順によってはあるため、表示形式が混在している他者から共有したシートなどは、必要な部分をコピーして、「形式を選択して貼り付け」-「値」でシートに保持されている値そのものが見えるようにし、確認することが重要だ。
■その他:
これも国別に設定されている表示形式が異なっていて、国名を選択するとリストにあらわれるようになる。日本の場合、郵便番号、電話番号、正負記号、漢数字、大字、全角数字、全角数字(カンマ付)がある。
■ユーザー定義:
ユーザーが表示形式を任意に設定できるようになっていて、設定するにはマクロのVBAコードのような表示形式設定用の記号を使用する。
かんたんなユーザー定義の利用方法
ユーザー定義はコードの意味を理解し、それを駆使して設定しなければならないと書いたが、簡単に流用できるので、その方法をご紹介したい。
たとえば、セルに[2020/1/1]と年月日を入力したうえでアクティブにし、「セルの書式設定」ダイアログボックスから「表示形式」タグを選択。日付けで「2021年7月21日」のように年月日すべてが記載されている表示形式をリストから選択する。
セルの表示が変わったことを確認して再度「セルの書式設定」ダイアログボックスから「表示形式」タグを選択。分類から「ユーザー定義」を選択すると、直前に選択した表示形式がコードになって「種類」ボックスに表示される。
たとえば年表示のみにしたいということであればぼボックスに入っている[yyyy"年"m"月"d"日";@]の[m"月"d"日"]を削除して[yyyy"年";@]にする。そうするとセルの表示は[2021年]となった。
このように表示形式におけるユーザー定義は、直前に設定したセルの表示形式をコードで表示してくれるので、この機能を利用することで、コードの意味がわからなくても流用が可能になる。また。コードはネットを検索すればたくさんの紹介記事があるので、興味のある方はそちらを参考にされたい。
最後にExcelはこの表示形式機能が非常に便利な反面、今日見てきたような表示形式の基本をしっかりと理解したうえで使わないと、見た目とシートが保持している値が実は違っていて、そのまま計算したらとんでもない結果が出た、などということもよくある。
とくにExcelの習熟レベルがわからない他人が作ったシートは、この表示形式機能を理解せず、見た目が正しければいいとばかりに、本来は小数点以下の桁数を持っているのに、表示形式機能で小数点以下を表示しないようにしていたなど、よくある話である。あやしいときは、まず新品のシートに「値で貼り付け」してなまの値を確認するのが基本中の基本である。