さまざまなWebページや書籍で紹介されているショートカットキーであるが、当店ではここでも基本に忠実にみていきたいと思う。
いまさらではあるが、ショートカットキーについて整理してみる。ショートカットキーは、アプリにおける「タブ」を選択し、「コマンド」ボタンを押して目的の機能を実行するというアクションをキーボードのキーのみの組み合わせで実現してしまう機能である。
マウスを使用するアクションと比較しても、キーボード上の手をマウスに持ちかえ、マウスでタブを選択し、コマンドボタンをクリックするという一連の動作を、キーを2つないし3つのタッチで実現するというきわめて効率的な機能である。
ただ一つの弱点は、機能に対するショートカットキーをおぼえなければならない、ということである。世間に出回っているWebページや書籍の「ショートカットキー一覧」を見ただけで、元素記号をみるような満腹感をおぼえる読者も多いことであろう。
そこで、当店では重点指向、つまり使用頻度が高く、おぼえて使うことで効果が高いものから覚えることをおススメしたい。Excelでの作業手順を考えてみると、まずシートを開いて、なんらかの作業をし、上書き保存して閉じる。作業を究極までシンプルにするとこのように表現できる。
このExcel作業の原理を一本の柱にして、そこに読者がよく使うであろう作業の機能を使用頻度の高い順に整理しておぼえていくのである。ここでひとつ注意したいのが、ショートカットキーは、一度にたくさんのものをおぼえるのではなく、これまで説明した考え方で自らの頻度の高い作業をベースに使用頻度の高いショートカットキーを整理し、1回に1つから3つくらいまでをグループにして、それを徹底的に体に覚えこませるのだ。
訓練終了の目安は、「無意識のうちにショートカットキーを操作している状態」である。要するに「[Ctrl]を押して、えーと次はOpenの[o]で開く」と意識することなく、「シートを開きたい」と考えただけで手が勝手に[Ctrl]+[o]を操作している状態である。
このレベルまで繰り返し体に覚え込ませると、半年くらいまったくExcelを触らなくても、2、3回作業を繰り返すだけで、手が勝手に反応するようによみがえってくるのだ。よく自転車の乗り方は1回覚えたら忘れないという、アレである。
さて、前述のExcel作業の究極原理からいうと、
- シートを開き … [Ctrl]+[o]
- なんらかの作業をし … 「それぞれの担当業務応じて検討」
- 上書き保存して … [Ctrl]+[s]
- シートを閉じる … [Ctrl]+[F4]
である。要するにショートカットキー初心者はまず、この3つからスタートすることをおススメしたい。「レベル1」
これはすでに習得済みという読者には「レベル2」として、「シートを開き、なんらかの作業をし、上書き保存して、閉じる」の応用編を紹介したい。
- 新規シートを作成し … [Ctrl]+[n]
- なんらかの作業をし … 「それぞれの担当業務応じて検討」
- 名前を付けて保存して … [Alt]+[f]→[a]→[o] 「名前を付けて保存」ダイアログボックス表示
- アプリを閉じる … [Alt]+[F4]
※「+」はキーを同時に押す、「→」は次のアクションとして単独で押す
※いうまでもなく、頻出の[Ctrl]に組み合わせられるキーは、英単語の頭文字が多い
このレベルはさすがに… という読者も多いことと思うが、あくまで「基本に忠実に」である。ただし「レベル1」を押さえたら「レベル2」ではなく、作業に目を向けることも重要だ。作業は読者それぞれの担当業務に応じて、としていたが、どんな作業でも頻出の操作がある。「ダイアログボックス」を表示させる機能だ。
ダイアログとは「対話」を意味するので、ダイアログボックスには全世界のユーザーのなかで使用頻度の高い機能が、それも詳細な設定まで満載されている。コマンドボタンがさらに使用頻度の高い機能ひとつに絞って直接的にその操作のみを完了させるのと対照的である。このユーザーのレベルに応じた守備範囲の広い操作性も、アプリとして評価されているところであろう。
「レベル3」
- [Ctrl]+[1] … セルの書式設定
- [Alt]+[p]→[sp] … ページ設定
この2つをおぼえておけば、たいていのことはできてしまう、たいへんに使用頻度の高いダイアログボックスである。あまりなじみのない読者は、これを機にぜひ使ってみてほしい。
また、アプリは数年に一度、大幅なバージョンアップを行うことが多い。コマンドボタンの設定やタブの割り付け、リボンの場所などが一緒に変更になることもしばしばで、この変更はユーザーにとって負荷が高い。しかしショートカットキーはほとんど変更されることがないので、これも大きなメリットのひとつだ。
筆者など、現行のExcel2019では、コマンドボタンがどこにあるかわからずに使っている機能がたくさんある。しかしショートカットキーでダイアログボックスを出すことでほとんど事足りてしまう。ただ、しばらく触らないと思いだすまで時間がかかるのが難点である。