ヘビーデューティー・アイビー
1970年代のヒッピームーブメントによって、アイビーは受難の時代をむかえる。そんななか、70年代の前半には、のちにやってくるヘビーデューティー(HD)ルックの萌芽が着々とすすんでいた。71年にはワークシャツ、ダンガリーズ、オーヴァーオールやワークブールなどが話題となる。
HDとは、アイビーリーガーのライフスタイル全体を輸入してきたアイビーだが、オンは文武両道で勉強もしつつ、スポーツで体をきたえ、そしてオフにはアウトドアライフを好んだ彼らの服装やブランドにも注目したのだ。
1976年、メンズクラブが「ヘビアイ宣言」を行い、ファッションと価値観の両方を変える発端となった。アイビー新時代の到来である。質実剛健、頑丈そのものといったHDはライフスタイルそのものがファッションであった。日本人はHDによって、アメリカン・ブランドと一緒にライフスタイルを学ぶことになったのであった。
マウンテンパーカー
そんなHDアイテムのトップバッターは、マウンテンパーカーである。防風、防水にすぐれたその素材は、ロクヨン(60/40)クロスまたはロクヨンと呼ばれ、横糸に綿を約60%、縦糸にナイロンを約40%の比率で織り上げられた生地が使われている。ブランドはなんといっても「シェラデザイン」に限る。
鉄板コーデは、ネルシャツと呼ばれるコットンフランネルのシャツにコーデュロイ製のタフな6ポケットブッシュパンツ、未脱脂ウールを使ったオイルドセーターとダウンベストをなかにレイヤード(重ね着)し、足元はL.L.Beanのハンティングシューで固める。そしてウールフェルトのクラッシャーハットをかぶれば完璧である。
日本に持ち込まれた当初この、このようなアウトドアウエアコーデとセットで取りれられたが、そこはアイビーボーイ、すぐに街着に取り入れコーデされることに。タイドアップした基本のネイビーブレザーコーデのうえにそのまま羽織っても、最初からそれ用にしつらえたようにフィットするから不思議である。
店主は学生時代に渋谷のビームスでバイトをしていた友人が声をかけてくれて手に入れた、シェラデザインのマウンテンパーカーをいまでも現役で着ている。おそらく擦り切れることもないだろうから一生モノとなるだろう。そのくらいHDアイテムはタフで使い込むことができるアイテムなのだ。
カジュアルでは、ここのところ見てきたニットのコーデにそのまま羽織っても違和感はなく、相性もいい。秋に持っていたい薄手の上着として、バラクーダG9のゴルフジャケットととにも、ワードロープに加えたい一着である。