Cafe HOUKOKU-DOH

~ホッとひと息的な読み物でブレイクするサイト~

【いまさら訊けない】Office基礎講座28 Excel 端数処理

先週突然、Wordの基本にジャンプしたが、今週はまたもやExcelに戻って基本を忠実に確認していくことにしよう。

 

端数処理

計算シートや計算台帳などをExcelで作成し、定型的な計算処理を繰り返し処理をしたり、一点モノで作表して計算させて、集計したりという作業は、典型的なExcelの使い方だ。

 

そのような使い方をしているシート、とくに他人が作ったシートを資料として渡されたり、流用したりするときに特に気をつけたいのが、「表示形式」と「端数処理」である。表示形式の危なさについては、Office講座18で取り上げているので、まだ読んでいない読者は参考にしていただきたい。

blog.houkoku-doh.com

計算途中の端数処理については、手で計算している限りかならず意識するものであり、その答えを出さないと次の計算にすすむことができないので、これまでは表面化することがなかったが、Excelという「便利なモノ」が使われはじめると、この問題が顕在化してきたのだ。

 

Excelでは、計算式を入力し計算させた結果に小数点以下の端数が出た場合、端数までしっかり表示してくれる。しかし、Excelの基礎をしっかりと理解していないメンバーや、そこまで正確性を求めない使い方をしているメンバーは、見た目の桁数をリボンにあるボタンで整数にしてしまい、体裁を整えて先にすすんでしまう。

 

以前ににも取り上げたが、Excelのセルに表示される数値や値は、ユーザーの使いやすいように加工して表示することができる。ようするに「セルが裏で保持している値と、表示されている値が同じとは限らない」ということだ。

 

年月日などの表示であれば、裏で持っているシリアル値と表示されている年月日がまったく違うので、誰しもが違う値を表示している、と認識する。一方で端数処理された値とされていない値は、注意深く意識しない限り認識することはむずかしい。

 

端数処理しないで見た目の桁数のみ調整すると、見た目の方は見える桁のひとつ下の桁の値を四捨五入して表示する。しかし本当は四捨五入しないなまの値を保持しているのである。

 

そのセルで計算が終了し、結果も四捨五入するというルールなら、結果的に間違いではない。しかし、このような結果オーライと、きちんと四捨五入のルールを意識して行っているのでは、プロセスはまったく異なり、放置しておくと大事故のもとになるのは明白だ。

 

たとえば、基本給が30万円、時間外手当の割増率が法定どおりの125%で3.5時間の時間外労働を行った場合で、年間所定労働日数244日、1日の所定労働時間8時間とすると

 

●最終の計算結果のみ四捨五入の端数処理を行った場合

300,000 ÷ 1,952H × 12ヶ月 × 125% × 3.5H = 8,068.64… ≒    8,069円

●1時間あたりの割増賃金額(単価)を四捨五入し、さらに計算結果も四捨五入した場合

300,000 ÷ 1,952H × 12ヶ月 × 125% = 2,305.32… ≒ 2,305円
2,305円 × 3.5H = 8,067.50 ≒    8,068円

人事屋さんならあたり前の話である。ちなみに給与計算の端数処理に関する法令は以下のとおりなので、あやしい方は参考にしていただきたい。

jsite.mhlw.go.jp

 

Excelでの端数処理関数は、ROUND(四捨五入)、ROUNDUP(切上げ)、ROUNDDOWN(切捨て)の3つだ。使い方はつぎのとおり。

ROUND(数値,桁数)

引数の「数値」はもちろん計算式でもOKだ。「桁数」は、

●0:小数点以下を四捨五入して、整数で表示

●プラス数値:小数点の右側(小数点以下)を四捨五入して表示

  たとえば、"-2"であれば、小数点以下第3位を四捨五入して第2位を表示となる。

●マイナス表示:小数点の左側(整数)の桁を四捨五入して表示

  たとえば"2"であれば、十の位を四捨五入して百の位を表示となる。

 

給与計算のような間違いがあってはならないと誰もが考えている計算シートならば、大事故にはつながらないが、何気なく作った表などで、単位の大きい概数などを扱った計算などでは、思わぬミスを起こしかねないので、端数処理には注意したい。