Cafe HOUKOKU-DOH

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IVY Note No.30

NIPPON MADE

2年前の春、会社員時代に宇都宮から横浜に引っ越してきた。人事制度の見直しをひととおり終え、次に着手すべき課題を提起し、あたらしいミッションを得、そのための新組織を東京の本社に立ち上げたのだ。

 

宇都宮ではクルマ通勤。毎日歩くのは自宅や工場の駐車場との往復のみであった。東京のオフィスへは電車通勤になる。必然的にこれまでより歩く距離は増える。

 

当時、社長がひとまわり以上も若返り交代。エンジニア出身であり、それまで変わらず、パーカーにブルージーンズ、スニーカーといった格好で本社にも出勤していた。本社には中途半端なドレスコードの残骸があり、ジーンズ禁止とか襟付きシャツ着用などがあったのだが、若手には注意しても社長には誰もなにもいわないという状況であった。

 

こういった旧弊は即刻なくすために、社長がカジュアルできている事実を使わない手はないと、店主も毎日お気に入りのアイビールックで出社した。しかし、カジュアルコーデにフィットするスニーカーの種類がたりず、手持ちのものだとまる1日という長時間履きっぱなしという条件では、デザインを優先していたこともありちょっときつかった。

 

「ここは疲れにいランニングシューズをすぐに買わねば!」店主は長年、ワードロープ中のランニングシューズには、アディダスのカントリーを愛用していた。クラシカルなデザインと、ランニング向けに設計された履き心地は、十分に満足できるものであった。しかし、ここ十年くらいいくら探しても新品が売っていないのである。

 

 

そこでしぶしぶ他のランニングシューズを探すことにした。しかし、カントリーの後継だけに、選択の条件はきびしい。まず、デザイン的にクラシカルで60年代を彷彿させるアイビーコーデにフィットすること。そのうえで履き心地がよく、さらに製品にストーリーがなければならない。

 

たとえば、ゼロハリのアタッシュケースがその頑丈さからNASAに採用され、アポロ宇宙船に載って月から石を運んできたとか、ファイロファックスのシステム手帳が店が空襲で焼けたときに、店主の持っていたシステム手帳に顧客名簿がすべてファイルされていて、商売を再開できたとか、そういったたぐいである。

 

ネットでいろいろ探していると、"NIPPON MADE"という文字に目が留まった。見れば懐かしのブランド「オニツカタイガー」ではないか。中学生のころバレーボールをやっていた店主は、後継ブランドであったアシックスのシューズにかなりお世話になった。

 

よく見てみると、オニツカタイガーブランドのランニングシューズを日本で職人が手作りしているというではないか。そのコンセプトは、

 

日本生まれのブランドであるオニツカタイガーが日本のものづくりの素晴らしさを世界に発信していくNIPPON MADEシリーズ。 上質な素材、染めや縫製などの細部まで感じられるこだわり、卓越した日本のクラフトマンシップから生まれるシューズは、ひとつとして同じものはありません。職人の手から紡ぎ出されるタイムレスな美しさを通じて、本物の日本を世界に発信します。

オニツカタイガーマガジンTOP)

 

というもいのであった。このメイド・イン・ジャパンの製品とストーリー、そして定番モデルのクラシカルなデザイン。即買うことを決めたのであった。

www.onitsukatigermagazine.com

それから2年半が経とうとしているが、この間の着用率は、おそらく90%を超えると思う。もう、ほかのランニングシューズやスニーカーの履く気を失わせるほどの履き心地のよさとカッコウよさなのだ。

 

店主が手に入れたのは、"MEXICO 66 DELUXE"という定番モデル。その名のとおりメキシコオリンピックにあわせて製造され、ブランドのアイコン的存在として人気のロングセラーモデルである。そのモデルをさらに日本で手作りしているのだ。履き心地が悪い訳がない。

 

2年半履き続けてきたので、かかとのソールがなくなりはじめている。しかし、このモデル以外のランニングシューズを買うという選択肢は、もうないと思う。いい靴にめぐり会えたことをブログを書きながらうれしく思うのであった。