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人事屋修行記(第34話)

チェック

給与計算システム更新のプロジェクトも大詰めを迎え、プログラムの試作品が納品されてきました。当時はシステム導入のプロセスに今のような、プロジェクトの評価フローを決めて、システマチックにやる方法はなく、あくまで各々のプロジェクトに参加している情報システムメンバーが、システムの動作検証からプログラムの不具合まですべての検証メニューを作成し、メンバーで手分けをして確認をしていくというものでした。

 

当時はまだ、Excelは世の中に出ていませんでしたので、当然、手計算で電卓をたたいての確認作業が主流でした。膨大なプログラムが詰まっているシステムが正しく計算をして結果を出すかどうかを確認し、安全性と品質を保証する必要があります。

 

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検証の方法は、最初にシステムとしての動作検証や計算式のチェックを行い、その後、実際のデータを使って、実務ベースで作業をしてみて不具合がないかどうか確かめていきます。そして最後に新旧システムを同じデータを使って計算を行い、結果がすべてあっているかどうかを確認します。

 

今はExcelがあるので、計算後の結果を全件吐き出して、ぶつけてアンマッチをとってみるということが可能ですが、当時はそのような便利なものがありません。かといって何千というすべての計算結果をチェックするのは物理的に不可能です。なので、どのようにチェックをすれば、論理的に可能性が0%に限りなく近づくのかを懸命に考えて、チェック方向と項目を検討していきました。

 

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給与計算という作業は、どこの会社でも行われている仕事で、決められたルールどおりに仕事を進めて間違いのない結果を出すことが要求されます。計算自体は、コンピューターがやってくれるので、今は人間の出る幕はありません。

 

ただ、コンピューターは、正しい数値を入れ、正しいオペレーションを行うことによってのみ、正しい結果を出してくれます。それでは、何が正しい結果なのか、それを考え、論理的にどこのどの数値を確認すれば、正しさが担保されるのかを考えて、正しい結果を出すことこそが担当者の役割だといえます。

 

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このプロジェクトでは、仕事のフロー全体からどこに焦点をあて、論理的にどこを確認すれば正しい結果が得られるかを考えるスキルをみっちり身につけることができました。そして、我々正社員が期待されている付加価値とは、こういった頭を使うことだということを、このプロジェクトの仕事から学ぶことができました。

 

最近では、何でもコンピューターがやってくれるのがあたり前になっています。しかし、そのコンピューターを使う仕組みを作ったり、使いこなすのは我々人間です。読者のみなさんにはぜひ、作業の前に、どこを確認すれば、理論的に間違いは起こらないはずだという確認方法を考え、チェックをする習慣を身につけ、付加価値の高い仕事を身につけて欲しいと思います。

 

つづく…