わかっているようで意外と知らないフォントについて、今週は見ていきたいとおもう。
大分類
フォントは大きく分けると「セリフ体」と「サンセリフ体」という2つのグループに大別できる。
セリフ体とは、文字の端に「セリフ」と呼ばれる飾りがついている。一方サンセリフの「サン」とは、フランス語で「ない」を意味する。セリフ体に対して文字の突起がない書体のことを指す。
和文フォントでいうと、セリフ体とは「明朝体」、サンセリフ体は「ゴシック体」が対応する。
明朝体は、毛筆の文字を整理、単純化したもので、筆のとめ、はね、はらいなどが残されている。
ゴシック体とは、とめ、はらいなどをのぞき、すべての線がほぼ同じ大きさになるようにつくられている。
書体とフォント
書体とフォントを意識して使い分けている読者は少ないと思うが、一応使い分けがあるので、整理しておきたい。
書体とは、共通した表現方法で統一された文字のことを指す。一方フォントとは、同じ書体の大文字、小文字、数字や記号など文章を表現するための各種字形のひとそろいをいう。
なので、PCでの作業で使うとすれば、基本的にフォントと使う方がフィット感が高い。
従属欧文
われわれが日常使うフォントには欧文フォントと和文フォントがある。日本語で資料を作成する場合には、基本和文フォントを使うが、日本語とアルファベットが混在する文章の場合、アルファベットは欧文フォントを使うのが基本だ。
WordでもPPTでもフォントの設定では、日本語用のフォントと英数字用のフォントが別々に設定できるようになっている。しかし英数字用のフォントには「日本語用と同じフォント」という選択肢がある。
これを選択すると「従属欧文」という日本語用フォントに付随するアルファベット、半角英数、記号が使われることになる。
英数字用のフォントに従属欧文を使用すると、欧文フォントとは異なり日本語フォントを基準に設計されていて、美しい文字組みが考慮されておらず、欧文フォントにくらべ見劣りする。
またそれだけではなく、日本語に対応していない海外のPCでは、正しく表示されないおそれもあるので、英数字用フォントには欧文フォントを使うようにする。
フォントの幅
前述の大分類とは別に、フォント幅の運用による分類も存在する。「等幅フォント」とは、日本語の全角フォントを同じサイズの正方形におさまるようにつくられている。1文字がすべて同じ幅でならぶので、横書の場合に縦方向の文字位置がそろうのである。
それに対してプロポーショナル(可変幅)フォントは、文字ごとに適した幅が設定されたもの。各文字の字間が文字の実際の幅に合わせて調整されている。和文フォントでは「MS Pゴシック」(Pは proportional)などは読者のみなさんもなじみがあるだろう。
最近よく見かけるフォントとして「UI」がついたものを見かける読者も多いと思う。「User Interface」の略で、限られた領域にできるだけ多くの文字を表示するために開発されたものだ。システム画面上のダイアログやメニューバーなどでの使用を目的に作成されていて、「MS Pゴシック」にくらべひらがな、カタカナが2/3程度の幅になっている。
英文字
最後に英小文字に特有の設定を押さえておきたい。中学校で最初に英語を習うとき、アルファベットの筆記体を書き取りするために(イマドキは筆記体を使わないとも聞いているが)4本線のノートを使った読者も多いと思う。
この4本線のうち、下から2本目の罫線は色が赤などほかの罫線と変わっており、ブロック体の大文字はすべて赤い罫線の上に書く。ブロック体の小文字と筆記体は、小文字であれば、f,g,j,p,q,y,z などは一番下の罫線まで使う。
フォントにもこの線が設定されていて、4本の罫線のうち、1本目を「アセンダーライン」3本目を「ベースライン」、4本目を「ディセンダーライン」という。
PPTでは、フォントダイアログボックスの「文字の高さをそろえる」にチェックを入れると、英字のすべてがアセンダーラインとディセンダーラインにそろえることができる。
アプリにデフォルトで設定されているフォントをそのまま使っている読者も多いと思うが、作成する資料の用途に合わせて、使うフォントを吟味し、読みやすい資料作成を目指したい。