Cafe HOUKOKU-DOH

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人事屋修行記(第48話)

初後輩

会社に入って丸6年が経っていましたが、店主の下にはいっこうに後輩が入ってこなく、入社以来すっと新人の位置づけでやってきました。自分の担当業務はもちろんのこと、課内のこまごまとしたことや、ちから仕事、近所のへんなおじさんが食堂に迷い込んできたことへの対応など、なんでも担当でした。

 

合併の整合作業が入ってくるまでは、それでも工数的には対応できていたのですが、さすがにプラスアルファの仕事が大きくなってきて、ひとり2勤や土日に仕事をしてもまわらなくなってきました。

 

店主の入社以来、全社で事務系の新卒は採用しておらず、社内から異動をすることもできません。さすがに店主のそんな状況を見かねたのか、課長や係長が動いてくれて、人事で中途採用をすることになりました。

 

採用人数は2人、店主の下で仕事をしてもらうよう、経験はなくともできるだけ若い人を採用しようという方針ですすめることにしました。当時は人材紹介などはなく、中途採用をするとなると、まずはハローワーク、お金に余裕があれば新聞の求人欄に広告を出すのが一般的でした。

 

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ハローワークに求人を出したところ、さっそく応募が数名あり、面接をすることになりました。男性3名と女性数名の応募があり面接開始です。店主は面接には出ませんでしたが、ひとりの男性の面接が終わったあと、面接している部屋に呼ばれて、あいさつを交わしました。

 

その後係長から、店主が気に入ったならば彼を採用したいと思うがどうか、とたずねられました。正直あいさつをしただけなのでよくわかりませんでした。当落線上に2人の男性がいて、ひとりはあいさつをした彼で年令は25才、設備の商社で営業を2年やっていました。もう一人は、当時倒産した宮城の第二地銀に勤めていたという30台前半の人でした。

 

給与計算を店主に代わって担当してもらう予定でしたので、数字とお金への明るさでいえば、元銀行マンです。でも店主より上なので、仕事を教えるとなるとやりづらい。一方営業マンの彼は経験や素養は未知数ですが、なによりも若い。ということで、双方経験なしなので若さにかけようということで決まりました。

 

もう一人は、半年前に大学を卒業したばかりという、第二新卒のような女性で、しっかりとした受け答えが好印象で、経験はないもののこちらも若さを買って採用です。

 

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2人は1997年の12月という、ただでさえ人事が年末調整や創立記念式典の準備で、1年でいちばん忙しいときに、それでも1日でも早く来てもらって仕事になれて欲しい、ということで入社してきました。

 

2人には、店主が新卒当時に教えられたように、仕事の基本をイチから徹底してもらい、最初は時間がかかってもいいので、しっかりと基礎固めをするよう、仕事に取り組んでもらいました。店主も若かった時期で忙しさもあって、声が大きくなるときもありましたが、2人ともよくついてきてくれました。

 

とはいえ、スタート直後はあまりの忙しさに、2人になかなかかまうことができず、手持ち無沙汰な時間もありました。しかし、この2人が徐々に戦力になっていったおかげで、それ以降、1年半にわたる合併による制度整合という大仕事を乗り切ることができたのです。

 

つづく…