資格更新研修
店主は、産業カウンセラーの資格を持っている。これでも歴としたカウンセラーなのである。昔の店主を知る人間からすると、「人の話など本当に聴けるのか?」といわれそうだが、ちゃんとした講座を受講し、試験にも合格しているのだ。
先日、日本産業カウンセラー協会からお知らせハガキが届いた。内容を読んでみると、来年の3月末で5年間の資格期間が終了し、資格更新の手続きが必要だという。
資格更新の条件には、協会が実施する「資格更新研修」もしくは、それに代えて「みなし研修」を6時間以上受講しなければならない。
店主もその条件は承知していたのだが、ここのところクライアントさんとのやり取りが頻繁になってきて、資格更新のことはすっかり忘れていた。
店主が産業カウンセラーの資格を取ったのは、4年前の2018年のこと。当時、新卒で入社した自動車部品メーカーを退職し、化学メーカーに転職して2年目のころであった。
働きはじめて以来、転職など考えたことがなかったのだが、実際に転職してみると、自分でも意外なほど、経験や知識、スキルがほかの会社でも役に立つことがわかり、セカンドキャリアに向けて、勉強や資格取得を前向きに考えていた時期だった。
産業保健の分野は、このようなご時世でもあり、ニーズはとても高いのであるが、一方で、関わる人材の専門性の出身分野がどうも医療関係者が多く、実際に企業の現場で起きている問題へのアプローチとなると、どうしても人事労務や会社経営的視点が弱く、うまく機能しないことが多い。
そこで、店主のようなキャリアに産業保健の知識をアドオンすることで、より現場の実態に即したサポートができるのでは?と考え資格を取ることにしたのだ。
カウンセラーと名乗ってはいるものの、自慢ではないがこれまで一回もカウンセリングはしたことがない。おそらく今後カウンセリングの実務をビジネスとしてやっていくこともないだろう。
資格は取ったとはいえ、自動車の免許と同じでそれは公道を走ってよい最低限の知識と技能を身につけたと法律的に認められただけのことである。プロドライバーのように運転を生業として金を稼げるというのは、また違う次元である。
カウンセリングもまったく同じことがいえる。カウンセリングの意味ややり方など最低限の知識と技能を身につけたに過ぎず、これで相談者の課題解決ができるレベルにはないのだ。
それでは一体なぜ資格を更新するのか?資格を更新するには、毎年1万円の年会費を協会に払ったうえで、先ほど説明した更新研修を5年に1回受けなければならない。
協会員にならなくても一旦取得した資格はなくならないのだが、「産業カウンセラー」を名乗って活動ができなくなるのである。ようは肩書き料なのだ。
資格を取った直後は、カウンセリングに対するモチベーションも高く、もっと面談スキルを向上させようとか、せっかく更新研修を受講するのだから、役に立つ内容のものを最低限の取得時間ではなく、事前に計画的に受講しようと考えていた。
しかし結果的には、協会から案内をもらってあわてて研修を探し、結局スケジュールが合わず、最低限の「資格更新研修」を受講するということになってしまった。
次の5年間ではこのようなことがないよう、計画的に受講したいものである。