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人事屋修行記(第79話)

就職情報会社

入社2年目の女子を採用担当に抜擢したのはいいのですが、最初の年は、なにごとを進めるにも自分自身も勉強して、アドバイスをしていかなければなりません。採用の仕事はこれまで長い間、となりではながめてきましたが、自らが上司として関わるとなると大違いです。

 

まずは、書店に足を運んで採用関係の書籍をかたっぱしから手にとって行き、よさそうなものを2、3冊買ってきて勉強です。この手の書籍を通じての知識習得はいつも思うのですが、やはりどの本も表現の方法は違えど、書いてあることの本質はほとんど同じということです。

 

採用のことでいうならば、企業における採用活動とは、採用決定権が企業側にあるのではなく、採用の場面は企業も学生を選ぶと同時に、学生も企業を選ぶ場であり、お互いの立場は、同じ位置にあるということを、このときに読み取りました。

 

新卒者の採用活動には、学生との接点を数多くもつために、就職情報会社が主催する就活イベントに参加をしていました。当時の会社は大手のリクルートさんやマイナビさんとともに、「顔の見える就職と採用」という独自のコンセプトで運営をしているパフさんという会社さんと前任者の時代からお付き合いをしていました。

 

 

11月に担当者が交代して最初の就職イベントは、そのパフさんの主催する学生向けの業界や仕事を企業の採用担当者をパネリストに招き、話を聞いて研究するというイベントでした。

 

そのイベントにパネリストとして新任の担当者を参加させることにしたのですが、なにせ人前で話をするのが大の苦手だというのです。当初「絶対にできません!」という彼女に「いいから仕事だからやれ!」と無理やり命令し、でも店主もはじめてのことで心配でもあり、同じイベントで他の会社さんが参加する同じイベントを2人で見学させてもらうことにしました。

 

それまでの店主はというと、工場人事からスタートして、人事といっても労務や評価、昇格といったどちらかといえば内向きな仕事ばかりを担当してきました。

 

社外の方とのお付き合いといえば、製造派遣の管理を担当していましたので、派遣会社の管理担当兼営業さんとのお付き合いくらいです。

 

 

イベント見学に行くことが決まってから、店主はとても緊張し始めました。就職情報会社といえば、なんとなく華やいだ感じの業界であり、採用と就職に関してさまざまな知識や情報を持っていて、企業の担当者との会話を通じてその担当者の力量や人物レベルを見定めて、その後の営業活動の戦略を練ってくる、といったようなイメージを持っていました。

 

会社を代表する人事の係長としてとにかく「なめられないようにしなければ」という思いをとても強く感じていました。イベント参加が決まった後、さらに数冊の採用関連の書籍を買って、とにかく知識武装に励みました。

 

イベント見学には、宮城の工場から東京まで2人で出かけていきました。会場につくとスタッフのみなさんがとても元気で気さくにあいさつをしてくださるのが印象的でした。

 

今思えば、学生さん相手の商売ですので、とにかく明るく元気なあいさつが基本なんですよね。

 

現在社外監査役としてお付き合いさせていただいているパフさんの社長(現在の会長)ともはじめて名刺交換をさせていただきました。その気さくで感じのいい人柄に、それまで勝手に抱いていたイメージはあっという間に消えてしまいました。

 

店主は社長さんに、担当者はさておき、店主自身も採用の仕事に関わるのは初めてで、とても心配であり、何とか成功できるよう、いろいろと教えて欲しい旨、正直にお話しました。

 

それに対して社長さんからも、採用活動を成功させるよう一緒にがんばって行きますと、力強い言葉をいただいて、その当時感じていた不安が少し気楽になったことを今でも覚えています。

 

つづく…