トートバック
ここ最近、ビジネストートが幅を利かせてきている。もともとビジネスバックに不満を持っていた感度の高い人々が、適度なカッチリさを持った革製のトートバックに目を付けたのだ。
時代の流れも追い風だった。クールビズが浸透し、職場にはビジネスカジュアルといったジャケパン姿がふつうになっていった。
コロナの影響も大きい。ここ3年でそもそもオフィスに出社することを前提としなくなった企業は多い。オフィスの再定義などを行い、リモートと対面での使い分けを考える企業や働く人が多くなってきた。
そういった流れのなかで、ドレスコードにも変化があらわれる。以前はスタートアップやIT系に多かったほとんどドレスコードを持たないような服装が、メガバンクなどにも広まってきたのだ。
そんな流れの中で、タイドアップにもカジュアルにも使え、もっというと、休みの日もそのまま使えるようなバックとしてトートバックが、とくに服装にコダワリを持っている層に目を付けられたのである。
そんなニーズを満たすトートバックといえば、やはり革製の高級品で、最低ノートPC+筆記用具などが入って肩掛けができ、かつジッパーで中身が見えないようになっていることがポイントになっている。
この要件であれば、かしこまったビジネスシーンでも、イマドキ十分に対応できる。
一方、店主世代のトートバックといえば、やはり L.L.Bean のキャンバスのトートバックである。これもヘビーデューティーアイビーのアイテムとして、注目されはじめたと思うが、最初に見たときは、なんとアメリカを感じさせるつくりなのだと感動したのを覚えている。
L.L.Bean のキャンバスのトートバックは、1944年に登場。そもそもは氷運搬用バッグをヒントに制作されたという。氷が溶けても水がにじみ出ないよう、24オンスのキャンバス地を使っている。デザインもシンプルで丈夫さ重視が見てわかる。
店主も大学生のときに友人が個人輸入(この言葉もいまや死語かも)するというので、ひと口乗せてもらい、日本には入ってきていないカラーのトートを手に入れた。
その後、旅行やレジャー、キャンプなどに大活躍しているが、いまだ第一線のアイテムだ。さすがに30年以上使い込んでいるので、それなりにヤレた感じになってきたが、その感じがまたいいのである。これこそ一生モノのトートである。