学習機敏性
先日、クライアント企業から人事メンバーの教育について相談をいただいた。そのなかのテーマのひとつとして、いかに短期間で効率的に人事の専門性を身に付けることができるか、というものがあった。
ロミンガーの法則でも言われているように、成長過程における影響度の割合は70%:OJT、20%:薫陶、10%:知識習得である。
ここでポイントになるのは、OJTをいかに効率的に行うか、ということである。業務上で経験しないと成長しないということになると、とにかく時間がかかってしまう。
一方で成長のスピードは、人によってさまざまである。ではいったいなにが違うのか?店主はOJTの効率にあると考えている。
漫然と仕事をこなして、自らその仕事の本質を理解することが、もっとも腹落ちするのではあるが、これができる人材は限られているし、時間もかかる。
ならば、OJTで習得する仕事の本質をあらかじめテーマとして与え、OJTを行う前に必要な業務知識と、組織におけるその仕事の位置づけなどをあらかじめ学習したうえで、OJTを行うのである。
これによってOJTでの仕事の本質部分の理解はかなり効率化できると考えている。
では、業務知識の習得はどのような方法で行うのがいいのか?考えられる手段としては、大きく4種類くらいだろうか。
- 公開講座を受講する
- 動画を視聴する
- 通信教育を受講する
- 市販の書籍をテキストに独習する
店主のおススメはズバリ!4.である。1,2はコストがかかる。また3も含め講座が設定されているものしか受講できない。
それに対し4は市販の書籍で適当なものをテキストにするので、かなりの範囲をカバーできる。しかもテキスト代だけなので安価であるし、自分で読んだテキストは後からすぐに調べたい箇所を探して確認することができる。なにより、1~3は受け身の学習なのに対し4は能動的な学習である。
近年、「学習機敏性」という能力が注目されている。最初は役員などの幹部クラスの能力要件として取り上げられていた。変化のスピードが速い昨今、つねに自身を最新にアップデートしていく能力が重要だとし、役員などのサクセッションで用いられてきた。
しかし、今やこの能力は幹部だけに限らない。リスキリングなどでも取り上げられているように、働く人すべてがつねに最新のスキルや知識を取り込んで、自分をアップデートしていく必要がある。
その際には、前述の理由により、書籍による独習が基本となってくるのだ。
考えてみて欲しい。大学の研究室などで、自身の研究をしたり、そのなかで仮説を立てたりする際など、まずは、先人の研究者たちの研究論文を読むところからはじめるではないか。
人類がこれだけのスピードで繫栄してきた要因のひとつとして、文字の存在があると店主は考えている。わたしたちは文字によって先人たちの成果を簡単に利用することができるのである。
これを仕事でも使わない手はないのである。
学習機敏性を高めるためにも、書籍をテキストにした独習を身に付けて行きたい。この能力を高めれば、読者のみなさんのキャリアはかなり広がりを持つことになるであろう。