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人事屋修行記(第143話)

協業検討プロジェクト

2013年の秋、匿名のプロジェクトにお誘いがかかりました。4つある事業のうち、車載用空調事業で国内の同業メーカーと協業を視野にフィジビリティスタディを行うということ。若い頃からこの手の案件にはことごとく呼ばれていましたが、部長になってもやっぱり人事じゃなく、企画の店主に声がかかりました。

 

前々職の空調事業は、4つの事業領域で一番苦戦していました。システムを構成する部品の中で一番核となるコンプレッサーの自前化がなかなかうまく行かず、構成部品のほとんどが購入部品で性能面での差別化やコスト競争力が弱く、親会社のリスク対策である2社購買方針によってなんとかメーカーレイアウトを保っていました。

 

協業先企業は、独立系の老舗で国内空調メーカーとしては、古いクルマ好きなら誰でも知っているブランドです。車載用以外にもさまざまな空調機器を手がけており、なんといっても我々が自前化できていないコンプレッサーを持っています。

 

相手の会社は、我々の親会社となんとか取引きをスタートさせるべく、数年前から空調システムの提案をしていました。その提案内容が結構魅力的だったのか、それとも我々の会社が不甲斐なかったのか、親会社の購買部門の施策として協業でシステム提案をするよう話しを受け、今回の極秘プロジェクトが立ち上がりました。

 

 

空調事業の担当役員がプロジェクトリーダーとなり、事業企画、開発、営業、購買、生産、品質、事業管理、知財そして人事と、ひとつの会社ができあがりそうなメンバーが招集されました。

 

当面の目標は、当時メーカー選定が進行していた、2020年モデルの空調システム受注に向け、協業を前提とした開発、生産体制の構築と、それに基づいたシステム提案を行い、品質や性能、コスト面で要求基準をクリアする提案を行うものでした。

 

プロジェクトが始まると、毎週定例ミーティングがセットされ、各領域の進捗状況や懸案事項が共有され、必要に応じてその場で担当役員が対応方針を示して行きました。

 

部品メーカーにいながら、ビジネスの最前線の状況を目の当たりにしたのはこのときがはじめてでした。開発や事業のエンジニアというのは、顧客の高い要求基準や無理難題に地道に一つひとつ、気の遠くなるような項目に対しチームで対応していくのだということに驚き、そして関心させられたのでした。

 

1年近くさまざまな検討をしたのですが、ビジネス的に協業での提案はメリットがない、という結論に達し、プロジェクトは解散しました。人事的には、なんらかの協業がはじまらないと具体的な実務は発生しませんので、参加しなくともよかったのですが、以前はこのような検討に呼ばれることがなかったことを考えると、それだけ人事が期待されはじめたことととらえ、ひとりで喜んでいました。

 

つづく…