株式報酬
今週に入って3月決算会社の株主総会の招集通知がたて続けに届いた。ほとんどは昨年亡くなった父から現物株を相続したものだが、そのほかに前職企業のものがあった。
なつかしさもありさっそく封を開けてみると、議決権行使書と一緒に招集通知の冊子が同封されている。
手に取ってみるとずいぶん薄くなった印象である。まさかここでもステルス値上げか?まさかと思いつつ冊子をめくると、会社法改正でB/S、P/Lなどの総会資料はWeb経由の開示がOKになり、その分薄くなっているそうだ。
表紙をめくると社長のあいさつが写真入りで掲載されている。あいかわらずお元気そうである。
総会に関する参加方法や手続きなどの説明が続いた後は、議案の説明だ。第1号議案は「余剰金の配当の件」である。
店主が在籍していたころと比べ、売上高が倍に伸びており、営業利益率も31%とメーカーとしては「超」優良企業である。
そして前期末の配当は65円。中間と合わせ年間100円と3桁である。店主はこれまで3桁の配当金にお目にかかったことがない。元証券会社のカミさんも同じことを言っていた。そして総還元性向はなんと50.8%である。
この配当性向では株価が上がるのも当然だ。在籍時は上場時の1,600円を大きく下回り、3桁台のことがほとんどであったが、最近では6千円台で安定している。
前職企業では、社員向けにも株式報酬を支給していた。ESOPという仕組みである。正式には「株式付与ESOP信託」(Employee Stock Ownership Plan)といい、会社は資金を信託に拠出、信託はそれを原資に自社株を取得する。毎年等級や評価、職位などの基準に基づきポイントを各社員に付与して、退職時に現物の株式を交付する。
ESOPには「退職給付型」と「持ち株会型」の2種類があるが、これは前者の仕組みだ。
株式報酬のメリットは、株主と利害を一致させることで、企業価値向上への動機づけをはかる点にある。要するにインセンティブの中でも中長期的な視点を醸成することができる。
ESOPに加え、10%という破格の奨励金が設定されていた持株会にも加入し、退職時には結構な数の現物株をいただいた。平均取得価額に対する配当は、年利でいうと10%以上にもなったのである。
人事の仕事のなかで、すぐに目に見える結果ものはほとんどない。ヒトや組織に働きかけ、変革を起こして、さらに結果に結びつくというのは5年10年というスパンで見ていく必要がある。
他人はどのように評価するかはわからないが、店主はこの株式報酬のリターンは、在籍時の仕事に対する見返りだと勝手に解釈している。
5年間の在籍期間の仕事と現在の業績にどのような相関関係があるのかはわからないが、一方でまったく関係がないとも言い切れないと考えている。なぜなら仕事の結果である業績は、そこで働いている社員の行動によるものに他ならないからである。
と、超都合よく勝手に解釈して、招集通知をながめながら、楽しい晩酌をさせていただいたのであった。