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人事屋修行記(第146話)

人事部長

秋口に受けた外部アセスメントや役員面接も無事に通過し、部長クラスの等級への昇格の内示をもらったのが、12月の半ばでした。これまで2年近く部長はやってきてはいたものの、会社から正式に部長の能力を認められ、やはり素直にうれしいと同時に、部下の手前、昇格できてホッとしたというのが正直な感想でした。

 

前々職の会社では、4月1日の組織改変や人事異動に向けて、役員人事を12月に、組織と部長人事を1月に検討し、2月中旬の取締役会で決定していきます。

 

当時の人事領域の組織において独立した人事部はなく、人事部長適任者がいないということで、総務部の傘下に人事課や人材開発課がぶら下がっていました。

 

1月のある日、上司である管理本部長から呼ばれ、「人事部作るので、組織と配置を総務部長と相談して決めるように」との内々示がありました。以前から人事の組織はこうした方がいい、という考えは持っていましたので、すぐに資料をまとめて総務部長と相談し、一発整合しました。

 

 

店主の担当していた人事企画室と総務部にあった人事課、人材開発課をまとめ1部3課体制としました。人事課の下には、人事係と給与厚生係を置き、メンバーは部全体で20数名の所帯です。給与計算はすべて内部で行っていて、1/3は給与の部隊でした。

 

各組織の構成メンバーや分掌はとくに変えませんので、組織変更に伴う引継ぎなどはスムーズに進みました。一方で新たに人事部を発足させるのですから、人事としての機能強化、つまり付加価値が期待されています。

 

店主は新たに発足する人事部の初代責任者として、あらためて基本に立ち返るべく、人事部としての役割を顧客視点で考え直し、わかりやすく覚えやすい合言葉のようなフレーズでまとめ、メンバーで共有する必要があると考えました。

 

仕事の現場では、日々さまざまな場面で判断することが求められています。どのポジションで判断をしていくかは、職務権限によって決めていますが、現実には職務権限にも載らないような細かな判断をメンバーひとり一人が行っていく必要があり、その際の拠り所が必要となってきます。

 

会社には企業理念や社是といった判断基準がありますが、それは各組織ごとに役割にあわせて設定し直す必要があり、役割定義はそのベースとなるものです。

 

店主は、人事部の役割を『事業計画達成に必要な人的資源を「質的」、「量的」側面から、タイムリーにマネジメントしていくこと』とまとめました。これを期初の方針説明時にメンバーに伝え、人事部のすべての活動は、この役割遂行のために存在するという認識を統一することからスタートしたのでした。

 

つづく…