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IVYおじさんの創業日誌

合理的思考

先日新聞でAmazonがいよいよ処方薬ネット販売事業をスタートさせたという記事を読んだ。以前から噂にはなっていたが、ようやくスタートしたようである。

 

くわしい仕組みの説明はメディアに任せるが、これがオンライン診療など遅れている医療分野におけるIT化拡大のきっかけになることを期待したい。

 

店主も会社員時代、内科のかかりつけ医をオンライン診療に切り替え、その便利さと効果を実感した。血圧など生活習慣病の薬を処方してもらうのに、平日半休をとるか、混雑する土曜日に通院しなければなかった。

 

それも医院との往復、待ち時間など含めると、やはり1.5~2時間は見込まなければならなかった。それがなんと予約した時間の前後5分程度で終わるのだ。

 

わが国のIT化の遅れはコロナ禍で痛感したところではあるが、海外の国々と比べると数周遅れといった感じである。なぜか?店主は「民意における合理的思考の欠如」だと考えている。

 

たとえばマイナンバーカード。個人情報は厳格に守られることは当然であるが、事故が起こる懸念ばかりをあおりたて、なので反対!では新しいことはなにもはじまらない。

 

それら議論の大半は「信用できない」などの感情論である。しかし本当に必要なのは、あたらしい仕組みを導入した場合のメリットとリスクによるデメリットを比較検討して意思決定することだと思う。

 

「個人情報の取扱いに懸念がある」というリスクがあるのであれば、どうすればそのリスクを極小化できるか、を議論していくべきであろう。

 

たとえばマイナ保険証への切り替えを考えてみたい。わが国の健康保険組合加入者は約4千5百万人、国民健康保険は約1千5百万人と合計で約6千万人にのぼる。

 

 

この6千万人全員がなんらかの健康保険証を持っていることになる。健康保険証は1度発行して終わりではない。国保や多くの健保組合は定期的に保険証の更新を行っており、その都度新旧保険証の実物を交換している。

 

また勤務先が変わったり、退職~失業給付~就職といった保険種別が変わるたびに保険証も都度回収、発行を繰り返す。

 

その作業に割く物理的な工数を想像してほしい。健康保険組合では資格取得届を受け取ると、保険証を発行し、会社に郵便などで送る。もちろん紛失や盗難などのリスクを避けるために書留である。

 

受け取った企業の担当者は、その保険証を今度は該当の社員に渡さなければならない。勤務場所が同じであれば手渡しですむが、場所が離れている場合、同じように郵送などで確実に届けなければならないのである。

 

そのような作業が約4千5百万の被保険者に対して都度行われているのである。それがマイナ保険証への移行ですべてなくなるのだ。

 

中国の武漢市では自動運転のタクシーが街中を縦横無尽に走り回っていて、人間が運転するタクシーを駆逐する勢いだという。もうそういう時代なのだ。政策的な意図だと思うが、運賃は人間が運転するタクシーの6割で、利用者もメリットを享受している。

 

マイナ保険証は一例に過ぎない。このようなIT化の遅れがわが国企業の生産性の低さの一因になっていることは想像に難くない。

 

人間は変化を好まないのは古今東西同じだと思う。ゆえにわが国のIT化の遅れは、合理的思考の欠如が生み出した結果ではないだろうか。

 

ビジネスシーンはもちろん、政治的な意思決定においても合理的思考を持って判断、意思決定していきたいものである。