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人事屋修行記(第151話)

昇格審査

店主が人事部長となったと4/1付けで、人事係長を店主と同い年のベテランから若手有望株の女性にバトンタッチしました。彼女はもともと営業志望で入社したのですが、営業部門で活かしきれずにいたところを人事で引き受けてきてもらったのでした。

 

子育て期間中でもあったので、最初は係長就任を固辞していたのですが、なんとか説得して引き受けてもらいました。店主は人事部長になって席が人事係と同じ島になり、彼女のとなりに席を置いたこともあり、仕事ぶりがよく見ることができました。

 

人事課の2014年度の行動計画の一つに、管理職以下の一般者への昇格審査導入という計画を立てていました。課題感としては、管理職昇格に向けて外部アセスメントで行う演習に対する、能力開発の準備が動機付けされず、全体として成績が伸び悩んでいるということが挙がっていました。

 

新しい人事係長は、メンバーと一緒にこのテーマに早速取り組んでくれました。普通なら昇格審査というと、筆記試験などを思い浮かべがちですが、人事係のメンバーは、管理職の昇格審査に向けた課題設定という視点から、管理職昇格試験のプレ演習を取り入れるというアイデアを提案してくれたのでした。

 

 

具体的には、グループディスカッションと事前に与えられたテーマに対する分析発表演習です。ここまでは誰でも考えつく内容なのですが、演習の実施にあたっては、外部専門家にお願いするのではなく、評価するアセッサーを自前で準備するという提案でした。

 

前々職の会社では、外部アセスメントを導入して当時すでに20年の実績があり、管理職はすでにアセスメントを経験して昇格した社員だけになっていました。そこで、各部門の管理職の中から、アセッサーに適任と思われるメンバーを人選し、アセスメント実施会社にお願いをしてアセッサーへの事前研修を行い審査員としました。

 

自前の審査員がどの程度の信頼性があるかは疑問もありましたが、コスト面での効果もさることながら、やはり何ごとも自前主義のグループ気質だったので、これは経営陣に特にうけました。それ以上に管理職の間にアセスメントで評価するディメンションへの理解が深まり、部下指導方法の工夫と意識の高まりという思いがけない効果としてあらわれました。

 

そんなメンバーの提案と行動を見ながら、この発想は店主からは出ないなとあらためて思うとともに、若手の新しい視点での提案を大切にしていかなければ、と気づかされたのでした。

 

つづく…