オルグ
前職の会社では、海外オルグといって、労働組合の執行部と人事メンバーで海外駐在員の仕事や生活実態の確認を目的に海外拠点を訪問するイベントを定期的に開催していました。海外拠点は30カ所以上あるので、3つの地域に分けて各拠点3年ごとにまわっていました。
毎年、労担の課長、係長クラスと執行部の本部専従三役クラスの2名でまわっており、現法へ訪問して組合員との懇談を中心に管理職との意見交換、住居や生活圏の現地調査などを行いながら、組合員が適正な環境下で仕事に集中し、活躍できているかを確認しつつ、さまざまな話を対面で聴くことにより、不平不満の解消やメンタル面のケアなどを行います。
店主が人事部長になってはじめてのオルグの時期となり、今年は誰が行くかというときに、久しく海外に行っていないということは立場上問題だということで、お鉢が回ってきました。
その年の対象地域は中国でした。中国には生産拠点が広州の東莞、南京、武漢の3つと上海に研究開発拠点があり、さらに武漢に生産拠点をもう一つ立ち上げているところでした。
2015年の正月休み明け早々にそれら拠点4ケ所をまわることと、さらに立ち上げ中の武漢の新工場については、駐在員を出すにあたっての労使での現地確認もあわせて行うこととし、出発しました。
最後に海外出張に行ったのは、2002年のタイへの人事制度改定支援以来であり、中国は、1998年の南京の現法立ち上げ支援以来17年ぶりの訪問でした。行程としては、東莞に入ってそこから武漢〜南京〜上海へと新幹線で移動するルートです。
1998年にはじめて中国に行ったときは、大雪で迎えのクルマが来れず、4時間かけて上海から南京まで在来線で移動したことを考えると新幹線での移動には隔世の感がありました。
一方で、以前新幹線が脱線した事故の際に、現場検証もそこそこに車両を埋めてしまった映像が記憶に残っており、安全性には大いなる疑問を持ちながらの乗り込んだのでした。
武漢から南京へ移動する新幹線では、乗車中にお昼時を迎えました。そうすると乗客のほとんどが準備していたカップ麺を取り出し、洗面所に備え付けているウォーターサーバーでお湯を注ぎ、おいしそうに食べ始めました。わが国のお弁当文化に慣れていると違和感がありますが、コスパを考えると合理的かもしれません。
テレビなどでは見ていたものの17年ぶりに見た中国はまったく別の国になっていて、前回来たときに、こんなにも発展して大きく変わることは、想像もつかなかったと思うと同時に、中国が持っているパワーと可能性の大きさ、それ以上に力強く経済発展が現在進行中という活気を身をもって実感したのでした。
つづく…