やりたい仕事
最近仕事が少々忙しくなってきている。ビジネス的にはとてもよろこばしいことなのだが、その中身については、少々モヤモヤしている。
店主にとって理想的なやりたい仕事というのは、ヒトや組織の課題を分析して真の原因を特定し、それに対する打ち手を考えて提案していくことである。そのなかでひとりでデータを分析したり、仮説を立てたり、打ち手を決めたりして、資料をまとめていく。
そんな過程をコツコツと部屋にこもって進めるのが何よりも楽しいのだ。
そんな仕事をしているときは、時間がたつのも忘れ、資料づくりに没頭してしまう。気が付くと1日があっという間に終わっているということもしばしばである。
会社員時代、人事企画を担当するようになりこの自身の指向性に気が付いた。それまで工場人事で労務系をずっと担当してきたので、社員などのトラブル対応はかなり得意な方であった。
周囲もそんな切った張ったを楽しそうにやっている店主を見て、現場で社員に向き合うのが合っていると評価していた。
しかし面白いもので、人事企画を担当してみると、また違った面白さが感じられ、ますます楽しくなって行ったのであった。
しかし最近クライアントさんからお願いされるのは、カウンセリングやコーチングなどの1対1のセッションがとても多い。
中身はさまざまで、資格を活かした産業カウンセリングや、現場から異動された人事業務未経験の方へのコーチングなど、幅が広い。
クライアントひとり一人の課題感やレベル感が違うので、それに合わせた対応ができることが評価されているようである。
この手の仕事は、前例がなかったり、正解のないといったイマどきのビジネス環境のなかでますます増えていくだろう。そういった意味で、このようなお仕事をお願いされるというのは、とてもありがたいことである。
しかし、やりたい仕事とは少々異なるのも事実なのだ。
以前、テレビで観たのだが、「今でしょ!」の林先生が有名になってきて、本を書いてみないか、というオファーがくるようになったそうだ。
本を執筆した実績がない最初のころは、出版社が書いてほしいテーマを持ってきて、お願いをされるそうだ。実際に出版されている本を見ると、自己啓発や勉強法、文学や話し方など、彼の専門性などを活かした内容のオンパレードである。
しかし、一定程度本が売れた実績が出てくると、「書きたい本をお願い」されるそうだ。そこで以前から興味があり一度書いて見たかったすしやうなぎ、てんぷらなど和食のエッセイを書いたそうだ。
しかしこれがまったく売れなかったそうだ。林先生は自分自身がやってみたいことと、周囲から期待されていることは、往々にして違うものだと語っていたのが印象的であった。
やりたいことを仕事にすることも大切だが、一方で自分自身の何が周囲の役に立っているのか?周囲は自分にどんなことを期待しているのか?を見つめなおすことは、経験を積めば積むほど重要になってくるのではないだろうか。
最近の仕事のオファーから、そんなことを考えさせられたのであった。