プロジェクト(7)
申請書を出した情報は社内に一気に広まりました。すぐさま上司の管理本部長が飛んできて、説得をされましたが、スミマセンの一点張りで面談終了。次に飛んできたのは、一緒にプロジェクトをやっていた元生産企画の執行役員でした。彼はビックリしつつも店主の気持ちも理解してくれ、最後には賛同してくれました。
一緒にプロジェクトを進めてくれていたリクルートの部長も、話を聞きつけてすぐに電話をくれました。事情を説明すると、すぐに会うことになり、数日後に宇都宮までわざわざ会いに来てくれました。
店主は、彼らのおかげで今回の施策が目標を達成し成功したことについて、お礼の気持ちをまずはしっかりと伝えました。そして、今回申請書を出したことについて、本音の気持ちを正直にお伝えしました。
店主は新入社員のころから、人事の割には外部のパートナー企業と一緒に仕事をする機会に恵まれていました。人材派遣会社、社宅手配の不動産会社、基幹システムの更新や導入を担当するITベンダー、人材紹介会社や就職情報会社など、さまざまな会社や担当者と仕事をしてきました。
そんな中、一番大切にしてきたことは、仕事でお付き合いをする社外の人々は、立場は違えど課題とゴールを共有する同じミッションを持った仲間として接していくということでした。
よく顧客と受注企業というようなスタンスで仕事をしている様子を見かけますが、そんなコミュニケーションで仕事がうまくいくとは思えません。同じゴールを目指すことで、お互いにウインウインの関係を築けてこそいい仕事ができると考えやってきました。
今回の施策でも、スタートの早い段階からそのような店主の考えは、リクルートさんを含めメンバー全員に対して特に強調して伝えてきました。なすべきことがシンプルで目標が難易度の高いものであるほど、チームのベクトルを一致させ、力を集中させていかなければいけません。
リクルートの部長は、そんな店主の取組み姿勢を意気に感じてくれていたようで、急遽宇都宮まで会いに来てくれた食事会でも、今回のプロジェクトが成功した一番の要因は、会社を超えたチームの結束の裏には、そういったスタンスが影響したと、しきりに話してくれたのが印象に残っています。
そして、そんな店主にとってあたり前とも思える仕事に対する姿勢の一つが、のちに思いがけないことにつながっていくのでした。
つづく…