なかまとの会食
先週末、自動車部品メーカー時代の部下と、夜に食事をした。桜木町駅前の洒落たおでん屋さんである。
半月ほど前、突然メッセンジャーで連絡がきた。彼は同じ横浜に住んでいるのだが、来春持ち家のある栃木に戻る予定だといい、その前に一回会いたいと言ってきたのだ。
上司部下時代によく通っていた居酒屋などとは違い、落ち着いた雰囲気のお店で、互いの近況報告や同僚の消息など、いろいろな情報をアップデートしてもらった。
彼は店主の人事課長時代に配属されてきて、社会人のスタートを同じ職場で過ごした。その後も人事畑をすすみ、会社の吸収合併など紆余曲折を経て、グローバルで業界2位の部品メーカーにステップアップしていた。
転職前に在籍していた企業での転勤に伴い横浜に住んでいたのだが、奥様の仕事や持ち家の賃貸契約などを考え、来春のタイミングで栃木の自宅に戻り、東京駅前のオフィスまで新幹線通勤を予定しているという。
業界2位の大手という大きな組織に転職し活躍しているようで、あたらしい職場と仕事には満足している様子であった。
そんな中、彼が口にしていたのは、一緒に働いていた企業における人事管理や規定管理がとても整然としていて誰にでもわかりやすく、現場で日々判断を迫られる人事担当者がストレスなく仕事ができていた、ということであった。
どうやら現職では、ひとつの規定に対して運用判断が各事業所でバラバラで統一されておらず、それが原因で問題になることが散見されているという。そういった付加価値を生まない仕事に時間を取られていることに疑問を持っているようであった。
実はこの「運用判断」をめぐる問題、店主がその会社に入社しところは日常茶飯事であった。新宿、川崎、宮城に分散してる拠点間で、同じ規定を適用しながらも、結果が違っていることが散見されていた。
入社6年目の1997年に系列部品メーカー3社が合併し、労働条件の整合作業がはじまった。ここで店主と先輩はそれまでの負の遺産であった運用判断の違いを解消すべく、整合作業ででき上った規程に対し、過去の取扱いなども踏まえ解釈集といえる「運用内規」を作成した。
それをキングジムの5cmファイルにファイリングし各拠点に配布して、判断はすべてこの内規に沿って行うことを徹底した。内規に規定されていない内容については、すべて本社人事に問合せ、判断を仰ぐようにし、その内容はすぐに内規をアップデートして、各拠点に配布していった。
いわゆる日本法令で手掛けている「加除式」というヤツにならったのである。
これはすべての人事担当者のバイブルとして徹底されていた経験を持っているので、現職の状況にストレスを感じているのであろう。まあ、多少は割り引かなければならないが、公平な取り扱いを是とする人事屋さんならではの感想であろう。
「同じ釜の飯を食う」とはよく言ったもので、その時間を共にした仲間にしか分かち合えないものは、貴重なものだと再認識させれたのであった。