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仕事のすすめ方 No.62

7-4.概ね妥当

店主が新入社員のころ、全社員分の年1回の昇給計算のマニュアルをながめていると、いくつか設定されている計算結果の確認手順の最後に、課長の手書きの字で、「昇給後の計算結果の合計金額が、概ね(おおむね)妥当であること」という一文を見つけました。

 

これを最初に見たとき、店主は飛び上がるほど驚いて、こんないい加減な確認があっていいものか! と納得がいきませんでした。

 

その後さまざまな仕事を経験するなかで、10年後くらいに係長に昇進したころになってようやく当時、課長がいっている意味がわかるようになってきました。

 

結果数値の確認、とくに全社分合計のような桁数の多い大きな数値については、担当者の経験からくる「概ね妥当」という感性が重要です。たとえば、毎月の給与計算において、基本給の全社員合計がだいたい10億円前後だったとします。担当者は毎月その数値を見ているわけですので、記憶にも入っているはずです。今回の夏の賞与は、2.8ヶ月を支給することになり、同じように計算結果のチェックの際に支給総額が28億円前後であれば、大きな間違いはない、と判断できるのです。

 

このような判断の前には、たくさんの確認項目が設定されていて、通常は、アプリで計算した結果と、手で計算した理論的にこの数値になるハズ、という理論値を見くらべて確認をします。

 

しかし、万が一アプリの計算でも手計算の理論値の両方とも、古い基本給テーブルを使って計算していたら、誤った同じ数字をベースに計算していますから、合ってしまうという可能性もあるのです。

 

ですから合計数値を見ながら電卓をたたいて判断できるくらいの簡単な計算で、概ね妥当かどうか、という視点も大切にしていかなければならないのです。