8-1.基本の大切さ
これはなにも仕事に限ったことではないのですが、なにごとにも基本というものがあり、基本をきちんと押さえたうえで応用なり、自分流なり、あたらしいやり方なり、モノなりをのせていくべきだと考えています。
このような考え方には、人それぞれさまざまな意見があると思います。しかし、天才肌以外の大部分の人々はやはり、なにごとも基本から順を追って積み上げていく方が、後から振り返ってみると結果的にはやくて効率的であったということになると考えています。
学生時代の勉強でも対極的なパターンが存在しました。まず教科書を読んで理解してから問題集にとりかかるグループと、まずは問題集をやってみてまちがったところを教科書に戻って内容を理解するグループがいました。
筆者は当然前者だったのですが、順を追ってひとつずつやっていくと、やがて点と点が線でつながっていき、最終的に全体像が浮かんできて、個々のパーツの位置づけや各々の関係性も最初に理解できます。そのように全体がはやく見えれば、あとは覚えなくても自分の頭で考えて、推論ができるようになり、結果覚える内容が少なくて済む気がしています。
一方でできなかった箇所を戻って覚えていく方法だと、個別の内容はわかるのですが、それが体系的に整理できないので、個別の内容については暗記せざるを得なくなります。
その繰り返しで全体像を浮かび上がらせるには相当な力が必要かと思いますし、全体像が把握できなければ、結局自分の頭で考え、推論することができないので、すべての問題のパターンを暗記する必要があり、非効率だと考えています。頭の回転がはやかったり、記憶力がいい人はその方法を苦にしないのでしょうが、どうもその後の発展性に欠けるような気がしています。
これが仕事の知識になると、さらに自分の頭で考え、推論していく必要性が増えてくると考えています。基礎をスルーするのがいつものパターンの読者は、一度だまされたと思って、なにかひとつでいいので基本から取り組むことにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。試してみるだけの価値はあると思います。