8-5.魚の釣り方を身につける
老子の言葉で「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」というものがあります。「飢えている人に魚をとってあげれば、一日は食べられるけれど、魚のとり方を教えれば、彼は一生食べることができる」という意味です。
中堅になって伸び悩む人とそうでない人がいます。どちらも頭の回転もはやく、いちを聞いて十を理解してくれますし、実務を任せても定常業務は抜群の安定感です。また、コミュニケーションやリーダーシップも不満のないレベルどころか、周囲と比較しても優れているといった感じです。
ところが定常業務から徐々に方針管理、つまり答えのない仕事を担当し、自ら課題を設定して、その解決方法を考え、実行していくようなレベルの仕事をやり始めると、みるみる差がついてきてしまうのです。
なぜこのようになってしまうのか? 伸び悩む人に共通の行動パターンがあることに気がつきました。それは仕事をしていくときに、本人が自覚しているかどうかはわかりませんが、その人は「魚を手に入れて満足している」のでした。
仕事で問題にぶつかったときに、答えそのものを手に入れて満足し、なぜその答えになったのかという計算式を理解しようとしないのです。まさに「魚の釣り方をおぼえる」ことをしようとはしないのです。これでは次にまた同じようなことが起こったときに、解決できません。
若手のころはそんなに仕事もつまってはいませんし、時間も余裕があると思います。みなさんには、魚を手に入れたとき、一緒に釣り方も身につけることを心がけてほしいと思います。