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IVYおじさんの創業日誌

年功序列

「新卒社員の5割以上が『年功序列』を望む」最近、こんな調査を目にした。産業能率大学総合研究所の、「2025年度 新入社員の会社生活調査」である。

 

年功序列的な人事制度と成果主義的な人事制度のどちらを望むかを尋ねたところ、結果として、「年功序列」を望む回答が「成果主義」を望む回答を上回って半数を超えたそうである。

 

内訳を見ると、「年功序列」を望むと回答したのは14.6%、「どちらかといえば年功序列」が41.7%となり、両者を合わせて56.3%。「年功序列」が過半数を占めるのは、36回の調査で初めてだそうだ。

 

www.hj.sanno.ac.jp

 

年功序列」志向は、2022年度の38.9%から徐々に上昇、2024年度には48.5%で過去最高となり、今回記録を更新したという。あわせて、「終身雇用」を望む割合は69.4%、「同じ会社に長く勤めたい」とする回答も51.8%といずれも増加傾向で安定志向だという。

 

調査タイミングが3月26日~4月10日であり、社会人スタート時点のイメージではあるものの、経年変化をみると、たしかに安定志向が強まっていると言えそうだ。

 

しかしこの「年功序列」というキーワードがくせ者である。おそらく設問も年功序列の対義的概念として「成果主義」というワードを用いている。年功序列を志向しているというよりも成果主義に対するNOの意思表示と捉えた方が良さそうだ。

 

そもそも年功序列をきちんと理解している人は、最近ではかなり少数派といえる。店主は会社員時代、能力主義の人事制度を運用し、管理職などは評価結果によってはダウン改定もある制度であった。それでも社員意識調査のフリーコメントなどでは、自社の制度を年功序列制度と理解しているものを多数見かけた。

 

年功序列制人事制度の本質は、中途採用を行わず全員を一律新卒定期採用で採用し、採用年次でグルーピングし管理していく。人事評価は行わず、基本的には同期全員が同じように昇給昇格して行くことにある。

 

 

入社後、ある程度の年数を経て同期の中の数名、数%程度が昇進や昇格ができず、遅れていく。社員はみな「同期に昇進昇格で遅れを取りたくない!」という気持ちがとても強い動機付けとなり、人事評価など一切行わなくても、全員が馬車馬のように働くのである。

 

会社や人事としては、緻密な制度設計や運用、現場でも目標設定や振り返り面談など、面倒な手間をかけずに、社員が必死に働くという動機付けができる、実に優れた(会社側にとって)制度なのだ。

 

当然、いいことばかりではない。弊害もたくさんある。致命的なのは、評価を行わず昇格させない者を決定するので、ミスや失敗の有無などに着目する「減点主義」になりやすく、その結果チャレンジせず、言われたことのみを行う雰囲気を醸成してしまいがちだ。

 

年功序列制度はほとんど見かけなくなってしまった。それにも関わらず社会人としてスタートラインに立った若者たちが、年功序列的な人事制度を希望しているという。この制度の本質を知ったら、彼ら彼女らは一体どのように感じるのであろう。そんなことを考えつつ調査結果をながめたのであった。