Cafe HOUKOKU-DOH

~ホッとひと息的な読み物でブレイクするサイト~

人事屋修行記(第193話)

フルリモート

2020年、コロナが深刻化し始めた頃、店主の職場も完全リモートに移行した。まず大きく変わったのは、紙ベースの仕事がすべて電子ファイルに置き換わったことだ。これにより、仕事のほとんどがテキストデータでやり取りされるようになった。

 

会議もすべてWeb会議システムを使うようになり、会社に行く必要がなくなったことで、通勤時間がゼロになった。その分、自由な時間が増えたのは間違いない。

 

電話もチャットに置き換わった。電話は相手の都合を考えずに割り込んでくるが、チャットは即時性はあるものの、手が離せない時は後で返信できる。この電話からチャットへの置き換えは、非常に大きな意味があったと感じられた。

 

リモートワークで最も大きく変わったのは、働くひとり一人が自分の仕事時間や休憩、仕事を終える時間を自分で管理する必要が出てきたことだ。タイムマネジメントがとても重要になった。

 

 

一方で、コミュニケーションの密度は明らかに下がった。会社で顔を合わせていれば、「ちょっといい?」と気軽に相談できたが、リモートではそうはいかない。雑談も激減し、ランチや仕事帰りの飲み会といった、仕事以外のコミュニケーションの場もほとんどなくなった。

 

リモートワークが当たり前になったことで、物理的な距離や時差がある外資系の働き方が日本でも一般的になったのだ。この新しい環境に適応できたビジネスパーソンは、生産性や効率が劇的に改善した。

 

特に大きかったのは、周囲の目を気にせず、日本人特有の「付き合い残業」をする必要がなくなったことだろう。これまでの「長く会社にいること」や「姿を見せること」が評価される文化から、「成果物」や「目に見えるアウトプット」が重視されるようになった。これはマネジメント層だけでなく、現場の社員にも大きな意識の変化をもたらした。

 

僕自身も自宅の物置部屋を片付けて、狭い空間で日々試行錯誤しながら仕事を続けた。慣れてくると効率も上がったが、対面の良さや、仕事と私生活の切り替え、ストレスコントロールといった課題も浮き彫りになった。特に、気分転換や環境変化への対応は後回しになりがちで、じわじわと効いてくる「ボディーブロー」のようなものだった。