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気持ちのマネジメント(第1回)

はじめに

人と組織にとってマネジメントは永遠の課題である。世の中にマネジメントを解説した著作は数多く存在し、その多くは機能や役割からの視点で、理論を学ぶには強い味方である。一方で人と人が関わる以上、そこには当事者の「気持ち」が存在する。今回の連載は「気持ち」にフォーカスしてマネジメントを一緒に考えてみたい。

 

会社員時代、係長、課長、部長といったマネジメントの立場をずいぶん長いこと店主は経験してきた。新卒で入った自動車部品メーカーを退職し、次の職場に移った時、時間的な余裕ができたことから「何か新しいことを勉強したい」と考え、産業カウンセラーの資格取得講座に通い始めた。

 

産業カウンセラーの基本は、とことん相手の気持ちにフォーカスし、それを受け止めることがカウンセリングである。半年間の講座のうち、半分以上もの時間をロールプレイに費やし、実際に相手の気持ちに寄り添う練習を重ねていく。その中で、人生でも1、2位を争うほどの大きな気づきを得た。

 

それは、店主自身がマネジメントの立場になって以降、部下や同僚と仕事をする際、相手の気持ちを1ミリも考えなかったということであった。仕事をお願いし、やってもらい、成果を出す――その流れの中で、相手の気持ちや感情に目を向けることが完全に抜けていたことに気づいた。これは相当ショックだった。

 

「モチベーション」という言葉はよく使われるが、それはまさに気持ちそのものだ。人に仕事を頼む時、相手のモチベーションが高まるようなコミュニケーションを取ることが本来は必要なのに、それが完全に欠落していたのだ。

 

もしかすると、相手の気持ちを見て見ぬふりをしていたのかもしれない。なぜなら、ビジネスの現場では気持ちなど考えている余裕はなく、とにかくやらなければいけないことが山ほどあり、それをこなすのが当たり前という感覚で、人の気持ちや感情が入り込む余地はないという感じで、見て見ぬふり、気づかぬふりをしていたのかもしれない。

 

しかし、改めて考えてみると、相手の気持ちを無視したコミュニケーションでやる気を引き出すのは、よほど成熟した分別のある、大人として自身の感情をコントロールできるようなレベルの人でない限り難しい。ほとんどの人は、気持ちの良いコミュニケーションがあってこそ「やってやろう」「一生懸命やろう」「成果を上げよう」「目標を達成しよう」と思えるものだ。

 

能力があっても、「モチベーションというドライバー」がなければ仕事はうまくいかない。上司と部下の関係で言えば、部下は上司にノーと言いづらく、本音も話しにくい。だからこそ、上司が部下の気持ちに寄り添ってマネジメントすることが、実はものすごく重要なのだと、会社員を30年近く続けてきてようやく気づいたのだ。

 

この気づき以降、店主は人と組織を考える時、気持ちにものすごくフォーカスするようになった。今回の連載ブログは、「気持ちのマネジメント~信頼関係が崩壊する前に読む100の視点~」というタイトルで、みなさんと一緒に毎週考えていきたいと思う。

 

仕事や組織の中で、気持ちを大切にすることがどれほど重要か。これからの連載で、さまざまな視点から掘り下げていくので、ぜひ毎週お付き合いください。