Cafe HOUKOKU-DOH

~ホッとひと息的な読み物でブレイクするサイト~

気持ちのマネジメント(第13回)

言葉の裏側にある部下の「無言の訴え」に気づくには

日々の業務に追われる中で、部下が発する言葉の裏側にある「無言の訴え」を見過ごしてはいないだろうか。言葉の行間を読む。これは、相手の気持ちに目を向けることであり、とくに日本人には馴染み深いコミュニケーションの形のはずだ。マネジメントを担う立場なら、その能力は人並み以上に備わっているに違いない。しかし、こと仕事の場になると、その能力がうまく機能しなくなることがある。

 

なぜ、部下はそう考え、その言葉を発したのか。その背景にある気持ちを探るのではなく、「その判断は正しいか、正しくないか」という論理の天秤に、無意識のうちにかけてしまっているのだ。これでは、部下の真意をつかむのはむずかしい。

 

ここで一度立ち止まって考えてみたい。そもそも、仕事における判断に「絶対的な正解」など存在するのだろうか。僕たちが下す一つひとつの決断は、無数の変数に囲まれている。そのすべてを完璧に把握し、100%正しい答えを導き出すことなど、誰にもできはしない。

 

 

よく「経営者でさえ6割の情報で判断せよ」と言われる。立場は違えど、マネージャーが得られる情報量も、本質的には同じようなものではないだろうか。そう考えると、ある時点での判断がうまくいったのは、たまたま問題が起きなかった「最善に近い選択」だったと捉えるのが自然だ。

 

絶対的な正解がないのであれば、上司も部下も、それぞれの考えをテーブルの上に並べ、率直に意見を出し合うべきではないだろうか。そうして、より良い判断を共に積み重ねていく。その方が、一人で出した結論よりも、成功の確率が高まるのは自明の理ではないだろうか。

 

しかし、現実にはどうだろう。部下が真剣に考え抜いた意見を述べようとしても、その話の半分も聞かずに言葉をかぶせ、頭ごなしに否定してしまってはいないか。それでは、まともなコミュニケーションなど成り立つはずもない。信頼関係は崩れ、部下は口を閉ざしてしまうだろう。

 

ほとんどの部下は、真剣に仕事と向き合い、良い結果を出そうと日々努力している。そんな彼ら、彼女らの「無言の訴え」に耳を傾けるために、我々がいつも顧客に向けている「共感」のアンテナを、部下にも向けてみてはどうだろう。

 

「なぜ、そう考えたのか?」

「どうして、その行動を取ったのか?」

 

このように、部下の思考や行動の背景にある「理由」にフォーカスするのだ。その問いかけが、部下のやる気を引き出すきっかけになる。そして、一人ひとりの主体性が高まることで、結果的に組織全体の力も底上げされていく。そう考えているのは、店主だけではないはずだ。