人事制度
昨年後半は、以前からお付き合いのあるクライアントの人事制度構築を半年かけてお手伝いしてきた。クリスマスの日に最後の打ち合わせを終え、無事に納品が完了。一つの大きな仕事が終わったが、年が明けるとすぐに、別の企業から人事制度構築の仕事がスタートする。会社経営的には絶妙なタイミングで、非常に幸運なことだ。
今回のプロジェクトは、格付け、報酬、評価といった人事制度の全体をゼロから作り上げるという、1年以上かかる大掛かりなもの。先週から今週にかけては、月末に予定されているキックオフ会議の資料作りに追われていた。資料を作成しながら、店主自身のコンサルタントとしての立ち位置や、クライアントとの関わり方について改めて考えていた。
一般的に、コンサルティングの仕事と聞くと、どのようなイメージを持つだろうか。多くの人は、コンサルタントが過去の膨大な経験や知識、テンプレートを元に、クライアントが抱える課題に対して「正解」を示していくような姿を思い浮かべるかもしれない。ある意味、少し上から目線で指導するようなイメージだ。
しかし、店主の考え方は少し違う。人事制度を作り上げる主役は、あくまでもクライアント自身であるべきだと考えている。もちろん、クライアントは人事制度の専門家ではない。だから、どう進めれば良いか分からなかったり、専門的な知識を持っていなかったりするのは当然だ。
そこでコンサルタントの出番となる。店主の役割は、クライアントが自分たちの手で制度を作り上げていけるように、道筋を示し、隣で支える「伴走者」や「ナビゲーター」であるべきだ。なぜなら、人事制度は導入して終わりではないからだ。むしろ、導入した瞬間が本当のスタートラインなのである。
「人事制度なんて、どれもそんなに変わりませんよ」。人に聞かれた時、店主は誤解を恐れずに、あえてこのように単純化して話すことがある。もちろん、これは乱暴な言い方だ。しかし、この言葉には、制度という「仕組み」そのものよりも、それをどう「運用」していくかの方が何倍も重要だ、という意図が込められている。

どんなに優れた制度を導入しても、それが現場で適切に運用されなければ、ただの絵に描いた餅になってしまう。制度という「仏」に「魂」を入れる作業、つまり、制度を自社の文化や実態に合わせて育てていくプロセスこそが、最も重要なのである。
だからこそ、クライアントには「これは自分たちが作り上げた制度だ」という意識と誇りを持ってもらいたい。コンサルタントが作ったものを一方的に押し付けられるのではなく、自らが悩み、議論し、作り上げたものであれば、導入後も自分たちのツールとして大切に使いこなし、育てていこうという気持ちが生まれるはずだ。
そんな思いを巡らせながら、キックオフ会議の資料作りを進めていた。これから始まる長いプロジェクト。クライアントが自信を持って自分たちの制度を運用していけるよう、最高の伴走者でありたいと思う。