締切りの日が来れば仕事は終わる
ここ最近、いろんな人と仕事をしていると、仕事に対し、なにごともかなり先にある仕事に対して先回りをして、さまざまなことを心配して、とりあえず走り出す人を見かける。こういうタイプの人は、仕事ができる人であったり、頭の回転が速い人なんかに多いような気がする。
仕事の準備やスタートが遅れると、後々、その仕事の納期との兼ね合いで、結果その仕事に当てる時間が限られてしまって、納期に間に合わせようと、自分がたいへんになりそうだと考えている。そしてかなり前から、とりあえず進めようとするパターンが多い。
仕事を前倒しして進めるということは、悪いことではない。スケジュールに対して、前倒しでやれることは進めておくというのは推奨される取り組み姿勢だ。
しかし、それは前提条件などが全て決まり、揃った上での話である。そう考えると、このようなタイプの人というのは、さまざまな関係者と共同で進めるパターンの仕事より、ひとりで完結できる仕事をやっている人に多いような気がする。
自分自身でコントロールできない要素まで、思考の枠が広がっていないのかもしれない。
最近とくにそのような人からの相談やリクエストに対して、現在の状況とその仕事を意思決定して進めていくのに足りないパーツを説明し、認識してもらうことに時間を使うことが多い。
カミさんにその話をしたところ、彼女も同様に、職場に同じタイプの同僚がいて、説明をして納得をしてもらうのに、労力を使っているという。
この話を考えていたら、ふと自分の若い頃を思い出した。店主が新卒で入社して7年目のとき、三社合併の話が持ち上がった。当然だが、上場会社だったため社内外への発表は期日の半年前であった。
そこから合併のためのさまざまな整合作業がスタートしたのだが、一向に進まない。どころか、とてもスピードが遅いように感じていた。そんな中で店主は自分の仕事のことだけを考え、あれこれたくさんのことを決めなければ、たいへんなことになる!とひとりで気を揉んでいた。
そして合併して数ヶ月経ったある日、部長に直談判したのであった。「統一した労働条件を一刻も早く決めて、規程の整備やシステム変更などをしないとたいへんなことになります。一体、いつ決まるんでしょうか?」
それに対し、部長からはたったひとこと。「まだ何も決まっていない。」
この一言で店主は納得した。勝手に早く労働条件を整合して一本にしなければ、と気を揉んでいたのだが、それはみんなも当然認識していて、当然準備はしていたのだ。決まるまでは何も変えず今まで通りやってればいいだけであった。
こんな様子だった店主がいま、前述のように考えられるようになったのは、それだけ経験を積んだということだろうか。
店主の仕事に対する哲学の一つに「仕事は締め切りの日が来れば必ず終わる」というものがある。どんな仕事でも納期が来れば終わるのである。まあ出来栄えとか品質などはどのようなレベルかというのはさておきなのだが。
こんなことを考えつつも、先週打ち合わせをした新規案件の見積もりに対し、まだ返事が来ていないことに気をもんでいるのであった。