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気持ちのマネジメント(第23回)

なぜ、あの人と「合う・合わない」で片づけてしまうのか

「あの人とは合わないんだよね」。職場でそんな言葉を耳にすることがある。コミュニケーションが上手くいかない、話が噛み合わない、期待した反応が返ってこない。そんな時、僕たちは「合わない」という便利な言葉で、相手との間に線を引いてしまう。

 

「合わない」とは、コミュニケーションのすれ違いや違和感、期待とのズレから生まれる不快な感情のサインだ。相手が自分の期待通りに反応してくれない。だから心地よくない。そうした状況から逃れるため、「合わない」というレッテルを貼り、コミュニケーションそのものを放棄してしまう。これは、ある意味で「もうあなたとは話しません」という宣言に等しい。なぜなら、その方が「楽」だからだ。

 

しかし、ここは職場である。学生時代のように、気の合う仲間とだけ集まっていれば良いわけではない。「心地よくないから」という理由でコミュニケーションを放棄するのは、わがままと言われても仕方ないだろう。それは、仕事をしないための口実であり、ある種のサボタージュとも言える。

 

 

かつての日本の職場は、同質性が高いと言われてきた。大多数が日本人であり、同じような文化背景を持つ人々が集まっていた。言葉にしなくても「空気」を読み、互いの意図を察することができた。礼儀作法や立ち居振る舞いにも共通の認識があり、周囲に合わせて波風を立てないことを良しとする風潮も強かった。

 

しかしいまやグローバル化が進み、職場には外国籍の社員や異なる文化ルーツを持つ人々がいるのが当たり前になった。ダイバーシティという言葉が浸透し、「一人ひとりが違って当たり前」という価値観が広まりつつある。

 

これは、国籍や文化だけの話ではない。同じ日本人同士であっても、職場には実に様々な人がいる。少し話せば意図を汲み取り、テンポよく仕事を進められる人もいれば、どれだけ言葉を尽くして説明しても、なかなか理解してもらえない人もいる。

 

同じことを伝えているのに、なぜか全く違う受け取り方をする人や、思わずカチンとくるような反応を返す人もいるだろう。

 

しかし、「人はそれぞれ違う」ということを前提に立てば、こうしたすれ違いや衝突は、むしろ当然のことではないだろうか。我々は、会社という組織の中で、同じ目標に向かって進む一つのチームだ。その目的を達成することが最優先であるはずだ。

 

考え方も感じ方も違う人々が集まり、一つの目標を達成するためには何が必要か。それは、まず相手をリスペクトすることから始まるのではないだろうか。相手の短所や「合わない」と感じる部分にばかり目を向けるのではなく、その人の良いところを探し、認める。そして、「人はみんな違う」という大前提に立ち、根気強く対話を通じて答えを見つけていくしかないのだ。

 

「あの人とは合わない」と片付けてしまっては、それ以上組織としての力は高まらないのではないだろうか。