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気持ちのマネジメント(第24回)

努力しても報われないと感じる「頑張り続ける社員」の葛藤

どれだけ頑張っても、誰からも見向きもされない。暗闇の中で一人、終わりのない作業を続けているような感覚。

 

「どれだけやっても報われないんです」

 

よく聴く部下たちがこぼすこの言葉は、単なる愚痴ではない。それは、彼らが組織の中で感じている率直な感情だ。

 

世間ではよく、こうした悩みに対し「受け止め方を変えよう」とか「行動を改善しよう」といった、部下側の意識改革を求めるアドバイスがなされがちだ。しかし、人と人とのコミュニケーションは当事者同士で行われるもの。上司の行動に目を向けなければ相手の感じ方は修正されない。

 

もし部下が、報われない思いを抱えたまま必死にもがき続けたとしたら、その先にあるのは「離職」か、あるいは真面目すぎるがゆえの「心身の不調」である。これは組織にとっても、本人にとっても、あまりに悲劇的な結末だ。

 

一方的に部下に理由や責任を求める前に、我々マネジメント側は、自らの振る舞いがその「絶望」を作り出していないか、振り返ってみる必要がある。

 

感じる主体は、あくまで部下だ。上司にどんなに「良かれと思って」という意図があろうとも、相手がどう受け取ったかがすべてなのである

 

部下に「努力が報われない」と感じさせてしまう上司の対応には、主に4つの特徴があるといわれる。

 

第一に、「成果の無視と正当な評価の欠如」である。成果を出してもきちんと褒めない、あるいは「やって当然」という態度。評価基準が不明瞭で、適切なフィードバックを行わない。

 

イマドキ、マネージャーもプレーヤーを兼ねて忙しいのは分かるが、それは皆同じだ。しかし部下は上司のそんな状況まで察してはくれない。上司として部下にきちんと向き合い、仕事ぶりを見て、適切に声をかける。これはコミュニケーションの基本中の基本である。

 

 

第二に、「理不尽なダメ出しやプレッシャー」だ。仕事の出来栄えが期待通りでなかった時、具体的な改善ポイントではなく、つい人格や能力を否定してはいないだろうか。また、減点方式で失敗ばかりを詰めていないだろうか。これでは自尊心が削られ、挑戦する意欲は消え失せてしまう。

 

第三に、「モチベーションを奪う業務の割り振り」である。「今は忙しいからていねいに説明している暇がない」と、本人の成長に繋がらない単調な仕事ばかりを押し付けていないだろうか。

 

最後は、「コミュニケーション量の不足と偏り」だ。質問や相談をされても「ちょっと待って」と後回しにし、そのまま放置する。あるいは、自分と波長の合う部下とだけ親密に接し、そうでない部下と差をつけていないだろうか。上司の何気ない振る舞いが、部下にとっては存在の否定にすらなり得るのだ。

 

マネジメントにおいて「ロジック」は武器になるが、人を動かすのは常に「感情」である。部下がどんなフィルターを通してあなたの言葉を「認知」しているか。そこに想像力を働かせることこそが、信頼を築く第一歩となる。

 

忙しい日常の中で、我々はつい相手を一人の人間としてではなく、機能を果たす「リソース」として扱ってしまう。しかし、部下はあなたの背中を、言葉を、そして視線を、あなたが思う以上に敏感に感じ取っている。

 

もし、あなたのチームに「最近、元気がないな」と感じる部下がいるのなら、まずは自分自身の行動を静かに振り返ってみてほしい。部下の心に灯った「頑張りたい」という小さな火を、あなたの無自覚な振る舞いで吹き消してはいないだろうか。

 

気持ちのマネジメントとは、特別なスキルではない。目の前の一人ひとりをリスペクトし、その心の揺らぎにていねいに周波数を合わせようとする、地道な努力の積み重ねなのだ。