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HD創業日誌

DC募集説明会

毎年この時期になると、企業型DCを導入しているクライアントから、新規加入者向けの説明会開催の依頼が舞い込んでくる。多くの企業では、事務手続きの簡便さから、中途入社者を除けば加入のタイミングを年に一度、年度初めに設定している。そのため、2月から3月にかけて依頼が集中するのだ。

 

今週、次の説明会に向けた資料作成に取りかかっていた。どうすれば、この制度の重要性が伝わるだろうか。考えを巡らせながら、ある結論にたどり着く。そもそも、勤め先に企業型DCの制度があるにもかかわらず、それを利用しないという選択は、ほとんどナンセンスに近い。こんなに有利な制度を使わない手はないのだ。

 

なぜ、そこまで言い切れるのか。最大の理由は、2020年代に入ってからの物価上昇、つまりインフレである。それ以前の「失われた30年」はデフレの時代で、物価はほとんど上がらなかった。むしろ少し下がるくらいだったから、現金をただ持っていることのリスクは小さかった。

 

しかし、今は違う。インフレが常態化しつつある世界では、「投資をしない」こと自体が大きなリスクとなる。理屈は単純だ。物価がどんどん上がっていく中で、現金を銀行に預けているだけでは、その価値は相対的に目減りしていく。だからこそ、物価上昇を上回るリターンを目指して、賢くお金に働いてもらう「投資」が必要不可欠なのだ。

 

ところが、多くの日本人は「投資」という言葉に強い警戒心を抱いている。「株で大損した」「FXで失敗した」といった話ばかりが耳に入り、投資=怖いもの、というイメージが先行してしまう。

 

何を隠そう、かつての店主もそうだった。この仕事を始め、クライアントに企業型DCの導入を提案する立場になって初めて、投資の本質を学んだ。それまでは「投資は怖い」と考える人々と全く同じレベルだったのだ。だが、必死に勉強した結果、投資が経済的な自立を達成するための極めて強力なツールであると理解した。

 

ある著名なファンドマネージャーが著書で語っていた言葉が、今も心に残っている。
「個別株の短期売買は『投資』ではなく『投機』だ。お金に余裕のある人がゲームとして楽しむならいい。しかし、それを投資の本流だと語るのは、人々に誤ったイメージを植え付けるミスリードだ」

 

 

本当の投資とは、「長期・積立・分散」が大原則だ。そして、その原則を実践する上で、企業型DCやNISAは非常に優れた制度なのである。

 

例えば、老後資金という長期的な目的のためなら、企業型DCは最適な選択肢の一つとなる。それより手前のライフイベント、例えば教育資金や住宅購入の頭金のために備えるなら、まずはNISAの非課税枠を最大限に活用すべきだ。もちろん、NISAで選ぶ商品も、「長期・積立・分散」を実現できる投資信託が本筋となる。

 

企業型DCは、個人で加入するiDeCoと仕組みは似ているが、決定的な違いがある。それは、会社が運営管理手数料を負担してくれる点だ。金融機関によるが、月々数百円の手数料が無料になる。この金額を利回りに換算すれば、決して無視できないメリットだ。

 

目的や使い道に応じて、NISAと企業型DCを賢く使い分ける。この事実を知らない人は、驚くほど多い。知らないことで、得られるはずのメリットを享受できない。そしてインフレ時代の今、「何もしない」という選択は、メリットを逃すどころか、資産価値が減っていくリスクをただ受け入れることに他ならないのだ。

 

説明会の向こう側にいる社員一人ひとりに、この切実な事実がどうか伝わってほしい。そんな願いを込めながら、AIと一緒にスライドづくりで試行錯誤していたのであった。