メンタル不調の新人との向き合い方と初期対応
若手のメンタル不調が増えている。ある調査では2023年の調査に続き10・20代が最多であり、2014年調査時の2倍の水準(18.4%から37.6%)に上昇しているという。彼ら、彼女らは急激な環境の変化やプレッシャーの中で、周囲が想像する以上に複雑で苦しい感情を抱えているのだ。その葛藤は、大きく以下の3つに分けられる。
- 焦りと強い自己嫌悪:周囲が優秀に見え、「自分だけができない」「期待に応えられなくて申し訳ない」と、過剰に自分を責め、罪悪感を抱いてしまう
- 孤独感と疎外感:先輩や上司が忙しそうに見え、「こんな些細なことで時間を取らせてはいけない」と遠慮してしまう。ミスが続けば、「自分はお荷物なのではないか」と孤立感を深めていく
- 不安と恐怖:一度の叱責がトラウマとなり、常に上司の顔色をうかがい、ビクビクしながら仕事をするようになる。「明日会社に行くのが怖い」と、出社への強い拒絶感を覚えるまで追い詰められることもある
ここで最も厄介な課題は、彼ら彼女らが「SOSを出せないこと」にある。「弱音を吐いてはいけない」「甘えだと思われる」と思い込み、ギリギリまで一人で抱え込んでしまうのだ。だからこそ、周囲が気づいた時にはすでに限界を迎えていることが多い。もし身近に元気のない新人がいたら、「助けてほしいけれど、言い出せない状態にある」と捉えて接することが大切だ。
では、マネージャーとしてどう対応すべきか。初期対応の鍵は「変化に気づくこと」であり、そのための最も有効なツールが「朝のあいさつ」である。忙しいからといって、PCの画面から顔も上げずにあいさつを返すなど、もってのほかだ。
そして、声をかける時の質問にも工夫がいる。「最近、調子はどう?」といったオープンな質問では、大抵「大丈夫です」と返されて終わってしまう。そうではなく、「最近、よく眠れている?」とクローズドな質問を投げかけるのが効果的だ。不調を直接訴えるのはハードルが高くても、「実はあまり眠れていなくて……」という事実なら、比較的口に出しやすいからだ。
もし「眠れていない」という答えが返ってきたら、すぐに場所を変えゆっくりと話を聴こう。ただし、ここで勘違いしてはいけないのは、彼ら彼女らは具体的な問題解決を求めているわけではない、ということだ。
我々ビジネスパーソンは、相談を受けるとつい「どうすれば解決できるか?」という思考回路で話を聞いてしまう。しかし、彼ら彼女らが本当に求めているのは、「自分の辛い気持ちに寄り添ってほしい」という共感なのだ。
だから、まずはひたすら話を聴き、その気持ちを受け止める。もちろん、明らかに様子がおかしい場合は産業医や人事につなぐ必要があるが、現場の上司としての初動は「ただ話を聴き、寄り添うこと」で十分なのだ。
新入社員の小さなSOSを見逃さず、ていねいに気持ちに寄り添う。その姿勢こそが、彼らの心を救い、ひいては組織の未来を守ることにつながるのである。