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気持ちのマネジメント(第26回)

あなたのチームに潜む「社員や部下を見下している人」の存在

「仕事はできるが、チームプレーが苦手」優秀な社員が陥りがちなパターンである。社内でも「仕事ができる」と評判で、数字に強く、論理的で、常に高い成果を出し続けてきた。会社からの信頼も厚い。しかし、足元では、音を立てて信頼関係が崩れ去っているのだ。

 

部下や同僚を突き放し、見下すような態度をとる人。その姿は一見、自信に満ち溢れているように見える。しかし、産業カウンセラーとしての視点でその内面を深くのぞいてみると、そこには正反対の感情が張り付いていることに気づく。

 

それは、強烈な「不安」と「恐れ」だ。

 

彼ら彼女らは「常に優秀でなければならない」「成果を出し続けなければ自分の居場所がなくなる」という強迫観念に追いかけられている。自分の地位や価値が脅かされることを極端に恐れているのだ。

 

だからこそ、他者を下げることで相対的に自分の優位性を保ち、脆い自尊心を守ろうとする。

 

 

彼ら彼女らにとって、仕事の能力は「人間の価値」そのものだ。だから、経験の浅い部下やミスをした人間を、無意識のうちに「人間として価値が低い」と錯覚してしまう。相手を一人の人間としてリスペクトする「共感力」が、成果への執着によって麻痺してしまっている状態なのだ。

 

このようなタイプがとる行動には、共通のパターンがある。

 

まず、「否定から入る」ことだ。メンバーが勇気を出して提案しても、最後まで話を聞かずに「いや、それは違う」「要するにこういうことだろ」と遮る。自分のやり方が唯一の正解だと信じ込んでいるため、他者の意見はノイズにしか聞こえない。

 

次に、「過度な干渉(マイクロマネジメント)」。他者を「無能な存在」と定義しているため、仕事を任せることができない。細部まで口を出し、自分の色に染めようとする。第9回でも触れたが、これは部下から成長の機会とモチベーションを根こそぎ奪う「病」である。

 

もし、あなたの組織にこうした「見下す人物」がいたら、どう対処すべきか。それは「人格を否定せず、行動を正す」ことではないだろうか。

 

「あなたの性格が傲慢だ」と伝えても、相手は自己防衛に走り、反発するだけである。そうではなく、客観的な「事実」に基づいてフィードバックを行う必要がある。

  • 「〇日の会議で、発言を3回遮った事実は、チームの意見交換を阻害している」
  • 「あなたの言動により、離職検討者が○名出ている事実は、管理職としてのパフォーマンス不足である」

このように、具体的な行動とその影響を突きつけるのだ。

 

また、評価基準をドラスティックに変えることも有効だ。個人の数字だけでなく、「部下の育成」や「チームの心理的安全性への貢献」を評価の柱に据える。「部下や後輩、メンバーを潰しながら数字を出すこと」は、組織にとって中長期的な大損失であることを、明確なメッセージとして伝えなければならない。

 

「業績が良いから」という理由で、リスペクトを欠く行為を免罪符にしてはならない。
マネジメントの本質は、人を支配することではなく、人が動きたくなる「気持ち」を整えることにあるのだ。