企業で働く意味
先週末、久しぶりに土日の2日間をまるまる仕事から離れて過ごすことができた。振り返ってみると、今年の3月あたりからどうにもバタバタと忙しくしており、遠州のアトリエに置かれたプラモ制作カレンダーをめくってみても、3月半ば以降はまったくプラモデルに手を付けられていなかったのである。
この週末は、その間のロスを取り戻すかのように、思う存分プラモ作りに没頭することができた。すこぶる有意義な週末であった。
フリーランスとしてひとりで仕事をしていると、繁忙期には「土日休み」などとは言っていられなくなる。我が家の場合、カミさんが会社勤めで土日が休みであるため、なるべくそこに合わせて一緒に過ごせるようにと心がけてはいるのだが、現実にはなかなかそうもいかない。
すべてを自分でコントロールできる自由がある一方で、オンとオフの境界線が曖昧になってしまうのは、フリーランスの辛いところだ。
そんなふうに自分自身の働き方についてあれこれと思いを巡らせていたのだが、ふと、現在の自分とは180度違うポジション、すなわち「企業で働く意味」とは一体何なのだろうかと考えてみた。
昨今、新入社員でも月30万円をもらえるご時世である。しかし冷静に考えてみてほしい。入社したばかりの新人が、いきなり30万円分の付加価値を一人で生み出せているかというと、おそらくそれは非常に難しいだろう。
店主が会社員時代、新入社員研修でよく給与の内容を説明するコマを担当していた。所得税や社会保険料、時間外手当といった仕組みを解説した上で、最後に必ず行っていたのが「一人一人の時給を給与明細から割り出す」ことである。アルバイト経験のある彼ら彼女らにとって、自分たちがどのくらいの金額をもらっているか、実感として分かりやすくなるためであった。

では、なぜ企業は新人にそれだけの給与を支払えるのだろうか。それは、企業という組織にたくさんの人が属し、チームとして分業することで、ひとりですべてをこなすよりも数倍効率よく、より大きな価値を生み出せるからである。
研修ではいつも、そうやって総括して締めくくっていたのを思い出した。たとえば、ひとりの社員に30万円の給与を支払うために、企業は一体いくらの売上が必要なのか計算してみる(営業利益率を3%と仮定)。
業界によって粗利率は異なるが、労働集約型のITサービスやコンサル業界であっても75万円の売上が必要となる。設備投資や材料費がかかるメーカーであれば200万円、ほとんどが仕入れ原価となる小売や卸売業(粗利率を15%と想定)に至っては、なんと500万円もの売上が必要になるのだ。
会社員時代、この事実を理屈としてはなんとなく理解していたつもりであったが、いざ自分がフリーランスになり、自らの手で稼ぎを生み出す立場になってみると、その事実に対する実感がグッと増してくるのである。
しかし、「企業で働く意味」というのは、PL(損益計算書)の視点から見た効率の良さだけにとどまらない。世の中には、たくさんの人々が一致団結しなければ到底成し遂げられない仕事が存在する。
みんなで力を合わせるからこそ生み出せる「より大きな価値」を社会に届けること。それこそが、企業という組織で働く最大の醍醐味であり、意味なのだろうと思うのである。
そしてフリーランスで働く店主としては、そういった大きな価値を提供している企業のお手伝いができることが、存在意義なのだと実感したのであった。