役員合宿
先週末、店主が取締役を務めさせていただいている新卒採用コンサルティング会社の役員合宿があり、参加してきた。
場所は秩父の奥深く、風光明媚な温泉宿だ。携帯電話の電波すら届かない、まさに日常の喧騒から完全に切り離された空間であった。のんびりと温泉につかるにはこれ以上ない最高のロケーションなのだが、そこは役員合宿である。優雅な慰安旅行とはいかない。午前中に取締役会を済ませたあとは、ランチを挟んで夕食まで、みっちりと研修を受けた。
今回の合宿メンバーは、店主を含めた取締役3名と執行役員2名。そして、この特別な場における研修講師は、昨年退任した創業者である元会長に、我々から無理を言って引き受けていただいた。
合宿の1ヶ月前には事前課題が出されており、店主も提出を終えていた。いったいどのような研修になるのか、久々にワクワクしていた。
あらためて記憶を辿ってみると、店主が会社員時代に最後に研修の「受講生」となったのは2012年のこと。実に14年も前のことである。当時は社内の若手部課長クラスを選抜した次世代リーダー研修で、約半年間にわたるアクションラーニングであった。
その後は転職した化学メーカーも含め、人事として研修を企画・運営する側にまわり、自らが受けるチャンスはすっかりなくなってしまった。ましてやフリーランスとして独立してからは、そのような機会とは無縁であったため、今回のように純粋な学びの場を与えられるのは、たまらなくありがたい経験なのである。

事前に配布されたのは、参加者全員分の事前課題を分析し、サマリーとしてまとめられた資料であった。なんと24ページにもおよぶ大作であり、研修前にしっかりと読み込んでくるようにとの指示が添えられていた。
さらに合宿当日は、22ページにわたるテキストが配られ、それを元に「模擬役員会」という設定の中で研修が進められた。経営者としての根幹の役割である「良質な意思決定」を、実体験を通じて学んでいくという仕掛けである。
驚いたのは、その研修プログラムの完成度の高さであった。そのまま世に出して商品化できるのではないかと思うほどのクオリティであり、取り組みを進めるうちに、知的好奇心が刺激されてどんどん楽しくなり、同時に場を包む真剣度も増していった。
プログラムは大きく三部構成であった。
- 第一部:経営を体験する
- 第二部:経営を見つめ直す
- 第三部:経営を未来につなげる
自分たち自身の思考の癖を見つめ直し、さらには対話を通じて、組織としての意思決定プロセスを振り返り、深化させていく。今後、我々経営チームとして何をこの会社に残し、何を未来に向けて変えていくべきか。それを深く考えさせる、見事なストーリー仕立てになっていた。
この研修全体を通して店主が最も強く感じたのは、創業者がバトンを託した社長以下の役員たちへ向けた、深い「愛」であった。
創業者からすれば、我々後継の経営陣はまだまだ頼りなく映る部分も多いはずだ。しかし、だからこそ自らの想いを伝え、経営者として今後直面するであろう無数の困難な場面で、しっかりと最良の意思決定をしてほしい。そんな熱いメッセージが、テキストの行間やプログラムの随所に詰まっていたのである。
店主も含め、我々経営メンバーがこのようなメッセージと愛情の詰まったコンテンツを受け取ることができたのは、本当に幸せなことだと思う。組織開発の観点から見ても、単なる知識の伝達ではなく、理念と魂の継承とも呼べる素晴らしい時間であった。
取締役としての役割をしっかりとまっとうし、この会社をさらに前へ進めていかなければならないと、身の引き締まる思いを新たにしたのであった。