Cafe HOUKOKU-DOH

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IVYおじさんの創業日誌

ニトリ

先週末は息子のベットの購入に付き合った。近所の新横浜にニトリの大規模店舗がある。クルマで10分程度の距離だ。

 

寮の見取り図は送られてきているので、部屋のサイズは確認済みである。6帖弱の部屋なので普通サイズのベットは十分に入るが、収納は少ない。

 

ベット売り場にはおよそ30点ほどの商品がならんでいた。とくに明確なイメージがあるわけでもないので、これは選ぶのに時間がかかると覚悟を決めかけていると、めずらしい機能のベットが目にとまった。

 

ベット下のスペースを有効活用して引出しがついているタイプのモノは、わが家でも何度か購入したことがある。今回見つけたのは、マットレス下の板そのものが、クルマのボンネットのように跳ね上がるのタイプなのだ。

 

「重いんじゃないの?」けげんそうに見つめる息子の視線を察したのか、店員さんがタイミングよく寄ってきて、マットレスごと床板を上下させながら説明をはじめた。小柄な女性の店員さんだったが、片手でも上下させられるほどスムーズである。

 

youtu.be

 

それもそのはず、ボンネットやリアハッチのようにダンパーがついていて、アシストしてくれるのである。この機能は店主もいままで考えたこともなく、思わずうなってしまった。

 

この床面跳ね上げ方式だと、マットレス下のスペースがダンパーの部分を除き、フルに使いきれる。引出し方式の場合、部屋がせまいと使えない可能性もあるが、その心配もない。狭い部屋でも縦方向の空間は空いているということだ。

 

しかしニトリの本当の強さはここからであった。まず床面の跳ね上げ方向がタテ(足元から頭方向)、ヨコ(床面の長辺を綴じるように)が選べ、さらにヨコは設置場所に合わせて綴じ辺を左右チョイスできるだ。

 

さらに収納スペースの床板の高さも深さが2種類選べる。またベットボードと呼ばれる頭の後ろの背もたれも、シンプルな板状のもの高低2種類と照明、収納とコンセント付の3種類から選べるのだ。

 

この仕様にくわえ、色が2種類から選べる。したがって3×2×3×2=36通りの仕様が設定されているのである。

 

さらにである。ニトリのベットは、すべてニトリオリジナルのマットレスがセットできるようになっており、詰物、コイル形状、配列などマットの種類は、なんと13種類もラインナップされている。

 

www.nitori-net.jp

 

なんとマットレスもあわせると、このベットだけで468通りの堂々のメーカーオプションである。マットレスの共通仕様化がオプションの多品種化と大量生産を可能しているのだ。

 

まさにSPA(Speciality store retailer of Private label Apparel)ビジネスモデルのなせるワザである。SPAとは小売業で「自社で製品の企画から製造・販売までを一気通貫で行う」モデルだ。

 

SAPだからこそ、自社でリスクをとって消費者の気づいていない価値を提案できる。また、製造のコントロールも自由度が高いので、売れ筋商品は大量生産で単価を下げることが可能なのだ。

 

あの販売網と組み合わせれば、国内のほかの家具メーカーや販売会社は太刀打ちできないのは明らかだ。

 

モノにおける機能は顧客の価値だが、適正な利益を確保したうえでの安さも価値である。いままで手に入れられなかった商品を手に入れることができる。

 

ベットを買いながら、そんなことに感心させられた一日であった。