次世代育成支援対策推進法に基づく「行動計画策定指針」が改正
次世代育成支援対策推進法に基づき、策定・届出・公表が義務づけられている次世代育成支援対策に関する計画「一般事業主行動計画」の策定指針の内容が一部改正され、「不妊治療を受ける労働者に配慮した措置の実施」の項目が追加された。
この行動計画は基本的に2~5年の期間で策定し、PDCAを回して次回の計画内容へ反映、2025年3月末まで継続することになっている。なお、常時雇用する労働者数が100人以下の企業は、努力義務である。
具体的には、妊娠中の労働者及び子育てを行う労働者等の職業生活と家庭生活との両立を等を支援するための雇用環境の整備に挙げられている13項目に「不妊治療を受ける労働者に配慮した措置の実施」が追加され、講ずる措置として以下の内容が指針に示された。
不妊治療を受ける労働者に配慮した措置の実施
- 不妊治療のために利用することができる休暇制度(多様な目的で利用することができる休暇制度や利用目的を限定しない休暇制度を含む)
- 年休の半日単位付与や時間単位付与制度
- 所定外労働の制限、始業・終業時刻の繰上げ又は繰下げの制度
- フレックスタイム制、短時間勤務制度、テレワークなど
改正に伴い、「一般事業主行動計画の策定・変更届」の様式も変更された。今後行動計画の策定・変更を届出る場合には注意されたい。
参考図書のご紹介
わが国における人事の施策というのは、流行に敏感で流されやすいという特徴を持っていると店主はつねづね思っている。これまでも「成果主義」や「タレントマネジメント」、「グローバル人事制度」など、もうそれに取り組まなければ人事じゃない!といった感じで盛り上がるものの、熱が冷めたあとから冷静に振り返るとあれはいったい何だったのか?ということも多い。
人事施策の話題というのは、働く人々全員に関係することが多く、それなりに親近感もあり、自らにも関わってくる可能性も大きい。専門的知識がなくても、日常関係しているので、表面的な議論にはみんなが参加しやすい。
コロナ禍でリモートワークを余儀なくされた企業が直面し、大いに議論が盛り上がっているのが「ジョブ型」雇用への転換である。現在その議論はヒートアップし、セミナーや関連書籍、制度変更のコンサルティングと久々の大きな波となってる。
読者のみなさんも「うちの会社もジョブ型にしないと世の中についていけなくなる」などと危惧されている方も多いのではと思う。
しかし、店主は以前からこのジョブ型議論にかなり違和感を持っていた。今回もこの流れで拙速に導入して、これまでと同じ轍を踏むのでは?
そうしたところに良書がグッドタイミングで発行された。雇用ジャーナリストでご活躍されている海老原嗣生氏の「人事の組み立て~脱日本型の雇用のトリセツ~」(日経BP社)である。
店主は以前から本を出す人というのは本当に頭のいい人だと感じていて、店主のような凡人が、いままでの経験や試行錯誤の中でなんとなく漠然と考えているが、うまく人に伝えられない内容を、理路整然とわかりやすく文章にしてくれるのである。まさに目から鱗である。
こういった経験をいままでなんどもしてきたが、今回取り上げるこの一冊は、店主の30年以上の経験の中でも1、2位を争うほどのインパクトである。これを読めば人事界隈で盛り上がっている流行というものの本質が理解できるし、ジョブ型についても本来考えるべき課題が見えてくることであろう。
この本を1人でも多くの経営者や人事パーソンが手に取って本質の課題に切り込んでいただきたい。わが国に残された時間はそう多くはないと思う。