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IVYおじさんの創業日誌

報酬テーブル

先週末は報酬テーブルづくりをやっていた。クライアントさんが今年中に人事制度を改定して年明けから新制度をスタートするのだ。

 

なので、今週末はひさびさに土日とも自宅にいて、部屋にこもってExcelと格闘していた。

 

事業計画

店主は人事の役割を「事業計画達成のための人的資源を質的、量的にタイムリーにマネジメントすること」と定義している。なので、人事制度改定の起点は事業計画である。

 

事業計画を達成するためには、さまざまな課題が出てくるが、そのなかには「人」に関するものも出てくる。その課題を達成するために制度を変える必要がある場合にはじめて制度に手を付けるのだ。

 

会社によっては制度の改定自体が目的化してしまったり、そもそも課題感がそんなに明確ではないのに、はやりの制度に変えようなどということでスタートすることもめずらしくはない。このような場合はだいたい失敗するパターンだ。

 

 

人事制度改定の目的

まずは整理した課題感から実現したい「ありたき姿」を描く。そのありたき姿を実現することが「目的」と整理される。このプロセスが制度改定には重要である。

 

制度検討の最中はつねに目的を意識しながらすすめる。議論がまとまらないときや、どの方向に進むべきかを判断するときは、つねに目的を意識しながら検討をしていくことになる。

 

人事ポリシー

そのうえで検討した内容が「人事ポリシー」と整合性がとれているかどうか?をチェックしていく。ここが通常の戦略策定とは違う点だ。戦略の場合は、企業理念-中長期ビジョン-中期計画-単年度計画といった関係で、上位の目標が下位の目的になるのだが、人事ポリシーは方向性が違っていないかチェックすればいい。

 

ここが事業戦略と人事戦略の一番の違いである。人事制度や施策は、人事のためにあるのではなく、あくまで事業のためにあるという点に留意したい。

 

格付制度

企業理念や中長期計画を踏まえて、どのような基準で従業員に対し会社としての価値を決めるかの基準(軸)が格付制度である。

 

 

ここは人事制度全体のフレームになるので、これまでの事業計画~課題整理~ありたき姿などを整理してきた議論を踏まえて、その会社のそのときどきの方向性に最適なものをチョイスしていく。

 

格付制度は人事制度の根幹部分なので、職務主義や役割主義などといったパターンでくくって、このパターンが優れていて、それ以外は時代遅れである、などといった主張がよく聞かれるが、どのパターンにも一長一短があるので、絶対的にコレといったものはない。このような議論に巻き込まれないことも大切である。

 

報酬テーブル

格付制度が決まると、はじめて報酬制度の検討がスタートする。月度給与と賞与や退職金といった金銭報酬全体の比率をどのようにしていくのか、からはじまり非金銭的報酬とのバランスなど全体の構成要素を見ながら、格付ごとの報酬水準を決めていく。

 

しかしこの報酬水準の設定というのは、人事制度検討のなかでもいちばん人に教えるのがむずかしい。というよりロジックで説明できる内容ではない気がしている。

 

精緻にすすめようとすれば、大手のコンサルティングファームから同業他社の給与水準データを購入して、それをベンチマークにして設定していくことになるのだが、データーは高価であるし、そもそもわが国では給与水準データを購入するというのが一般的ではないので、データの母集団も少ないのだ。

 

そんなことをしているよりは、いままでの経験をもとに、初任格付だったらとか、課長クラスはこのくらい、部長ならこのくらいといった感じで水準を設定していき、全体バランスを見ていく作業になる。

 

それぞれの格付で相互に水準の関連性があるので、どこか一部分を動かすと別な部分で相互に関係性を見ていく必要があり、ここはいわゆる「鉛筆ナメなめ」といった感じで設定していくのである。

 

この水準設定の作業だけは、いつやっても時間を忘れて楽しい時間なのである。