Cafe HOUKOKU-DOH

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IVYおじさんの創業日誌

IT化

今回のコロナウイルス感染症は、われわれにいろいろなことを気づかせてくれた。そのなかで店主が再認識したのが、わが国のIT化の遅れである。とくに消費者と国民という2つの立場で、その後進国ぶりが際立った。

 

数年前からキャッシュレス化の遅れはいわれていた。マスコミの論調は「現金主義」などというものであったが、当時から店主が感じていた「真の原因」は、「生活インフラが整備されていること」と「感情論」であった。

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はじめて同じ思いをもったのは、90年代後半に中国に出張に行ったときであった。日本でもまだ携帯電話が一般庶民に行きわたっていなかった当時、日本よりも普及度合いがすすんでいると感じたのであった。

 

店主が考えた理由は、日本は生活インフラが整備されており、各家庭に固定電話を安価で引けたり、公衆電話が街中のいたるところに設置されていた。一方当時の中国は電話線などのインフラが整備されておらず、技術革新により携帯電話の基地局を立てた方が安価であり、結果携帯電話が非連続的に普及したというものであった。

 

キャッシュレスも同じ理由だと考えている。日本くらいATMがいたるところにあり、いつでもどこでも現金が引き出せる国はない。このインフラの充実度合いによる便利さが、消費者の「現金でいいじゃん」を後押したのだ。

 

また、キャッシュレス化については、治安のよさもかなり影響している。そもそもATMがたくさんあるのは、治安のいい証拠だし、店側も現金を置いているリスクをそんなに感じていない。ただ、最近はコインランドリーや飲食店などに、とても日本とは思えないような荒っぽい手口での窃盗がはやっているのを見ると、キャッシュレス化をプッシュするのではないかと考えている。

 

コロナ禍では現金給付やワクチン接種などの行政サービスでも信じられない光景があらわれた。どちらも基本的にすべてが紙ベースで進められた。結果どれも準備と展開、申し込みの回収におそろしく時間がかかり、われわれ国民を唖然とさせたのだ。

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いちばんのネックはやはり「マイナンバーカード」の普及の遅れだ。5千円分のポイントをインセンティブにしても、いまだに交付率は9月1日現在全国で37.6%である。3人に1人しか持っていないのである。

 

マイナンバー制度の導入には、国民の間で賛否がいろいろとある。これまでの国の対応などを思い返すと、信用ならないという気持ちも理解できなくはない。しかしである。このコロナ禍で諸外国との歴然とした差を見せつけられてもなお、4割に届かないのである。

 

ここまでくると合理的判断ではなく、感情論が先行していると考えている。このご時世、個人情報の取扱いに敏感になるのは理解できる。しかし、人権にうるさい欧米諸国があれだけ個人情報を政府にあずけるのは、そこに乾いた合理的判断が働いていると感じるのだ。

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引っ越しのときの行政への住所変更ひとつをとっても、体験してみると愕然とする。すべて対面で紙で手続きするのである。2年前に仙台から横浜に引っ越したとき、役所に行ってあらためてビックリさせられた。

 

イマドキの営利企業ならば、住所変更などすべてオンラインで完結であろう。そうすれば全国の市区町村役場の1階フロアは無人になるのではないか。この人手不足のご時世、労働力の新産業への移動と、行政手続きの効率化による財政健全化に寄与しそうな気がする。

 

まあ国や政治のことをここで話題にするつもりは毛頭ないのだが、少なくとも感染者が落ち着ていてるいまこそ、この2年弱の期間におけるわが国のIT後進国ぶりを振り返えり、どこに問題があるのかをみんなで考えてみる必要があるのではないだろうか。